ロードスターの梅雨対策

ロードスターの梅雨対策

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高温多湿の日本では、5月末から7月にかけて雨季・・・つまり、曇りや雨の天候が続く「梅雨」に入ります。オープンカーであるロードスターにとって、屋根が開けづらい寂しいシーズンでもあります。

また、私事ですが「世界一の手動幌」を持つとはいえ、我が家はガレージではなく青空駐車。さらに、仕事の関係で週末しかロードスターに乗れませんので、雨が降り続ければ放置されるクルマにはそれなりの負担がかかっている状態です。

そこで、梅雨シーズンに備えて私が行なっているメンテナンスをいくつかご紹介します。

雨漏り対策をおこなう


オープンカーにとって一番厄介でストレスのたまるキャビンへの浸水。その要因の筆頭になるのは「Aピラー頂点」や、窓ガラスが当たるモール周辺です。屋根がないことでボディ開口部にあたる頂点はどうしても歪むし、ゴムシールは経年劣化で痩せるからです。

こちら、日常的にできる対策としては、幌を閉じるときに「左右一緒」にトップロックを閉める癖をつけること。片側ずつ行うと、左右の歪みが生じるのでどうしても微妙なずれが生じるのです。面倒がらずに、車内に座って「儀式」(と思って)行いましょう。なお、NC以降のロードスターは中央一ヵ所にロック機構が備わっていますので、このあたりよく考えられていますよね・・・凄い。

また、意外と忘れがちなのはキャビン後方(Cピラーにあたる部分の根本)にある「水抜き穴」。雨は幌を伝ってキャビン内にあるレインレールに沿って外に排出される構造なので、そこが詰まるとシート裏に水たまりができるのです。NCロードスター以降はドレンボルト部分がカートリッジになっているので掃除しやすいですが、NA/NBロードスターは太い針金等を指して水抜けを良くしておくことをお勧めします。

内装が濡れたままだとカビが発生するので要注意です。汚れたカーペットは精神的にもダメージが(経験済)・・・オープンカーなのでキャビンを乾かすのは楽ですが、梅雨の時期はなかなか天日干しのタイミングが合いませんからね。

参考リンク:NA/NBロードスター 雨漏り対策
https://mx-5nb.com/2020/04/01/rain-leak-prevention/


また、地味にトランクルームが浸水していることもあります。

その原因は、ハードトップのデッキプレート(取り付け部分の金具)下にある「パッキン」や「パネル接合部」の劣化、もしくはトランクまわりのゴムシールが劣化していることで起こる症状です。さらに私の場合はナンバープレート裏の水路にあたるパネルに隙間があり、そこから思いっきりトランクに水たまりができていました。

特にNBロードスターはスペアタイヤ部分に水が溜まるので、スチール製であるスペアタイヤが錆びてしまいます。怪しければ、シーラントやブチルテープで対策しておきましょう。

参考リンク:NBロードスター トランクの雨漏り対策
https://mx-5nb.com/2021/06/14/leakage-in-the-trunk/

駐車時に想定外の雨!いざという時は


駐車時、ボディカバーをかけていたり、もしくはハードトップに換装していれば安心感は向上しますが、この季節は晴れていてもいきなりママ模様にかわり、しかもそれが長く続く・・・なんてこともしばしばあります。雨のなかで濡れたボディにカバーを付けるのは不毛な行為でしょうし、ハードトップの取付けはより危険行為になります。

また、幌の雨漏り対策は万全であっても、近年の暴力的な降雨はキャパシティを超えてくる可能性もあるので、そのままだと心配だ・・・なんてこと、あるのではないでしょうか。

まず、前提としてはなるべく水平な場所に駐車すること。ある程度は耐えられるようになっていても、坂道などのスロープや、片輪を路側帯に上げている状況で駐車していれば、隙間から余裕で水が浸入してくるのです。


そういった事態も含めてお勧めしたいのは「雑巾」。カッコ悪いかも知れませんがAピラーに「雑巾」を置いておくだけで安心感は段違いに向上します。さらに、可能であればAピラー直下(シート前端など)にも吸水性のある雑巾を置いておくと、万が一の際でもリカバリーが効きやすくなります。ただし、雨の中でドア開閉をするとモールに水が染みてキャビンに入ってくる・・・なんてこともあるので、ケースバイケースで対応しましょう。

なお、メンディングテープも試してみましたが、糊が残って幌やボディが汚れるので微妙でした。雑巾自体は100円ショップでも置いてあるし、ピンポイントでいい感じに水を吸って守ってくれるので、私はロードスターに常備しています。カッコ悪いかも知れませんけれど、コスパの良い対策だったりします。

ただし、注意点もあります。ビニール幌であればあまり影響はありませんが、クロス幌(特に明るい色)の場合は雨が落ち着いたらすぐに雑巾を外しましょう。長時間放置していると雑巾の持つ湿気により「黒カビ」が発生するかもしれないからです。何事もほどほどに・・・


また、安価なボディカバーも注意です。ここ最近の天候急変(湿気がある中で急激な高温)により、クリア層の下にある湿気が上手く抜けず、塗装が白化するリスクがあります(経験談)。「雨上がりにはカバーを外し、ボディを乾燥させましょう」と、凄く小さい注意書きがありましたが、そもそも平日はカバーをかける前提だったりすると安心して使用できません。こればかりは安心、安全なブランド物を使用することをお勧めします。

湿気対策を行う


エアコン動作確認
梅雨は高温多湿な環境になるので窓ガラスが曇りがち。外気とキャビンの温度差を無くそうにも、雨が降っていたら窓を開けることもできません。したがって、エアコンのデフロスターやリアガラスのデフォッガー機能(ハードトップ/NBガラス幌以降)を使うことになるのですが・・・いざって時に動かないとストレスになるはず。

そこで、可能であれば梅雨入り前から「エアコンが動くか」の確認をお勧めします。機能しないのであれば、どちらにせよ梅雨明けにオープンカー泣かせの灼熱地獄・夏が待っているので、メンテナンスしておいた方が安心です。

そもそもエアコンユニットが壊れていたら大変ですが、エアコンガスは7~8年で抜けるそうなので(2~3年で冷えないと抜けている可能性あり)、エアコンガス充填を検討したほうがいいかも知れません。個人的にコスパ抜群だったのがカーショップで行ってくれる「エアコンガス・リフレッシュメニュー」です。

これはエアコンのガス充填とともに、ラインの洗浄も兼ねたメニューなのですが、恐ろしく冷えるようになりました。近年はヒーターラインの加工を行うモデファイも聞きますが、王道のメンテでも十分エアコン機能は十分に実感することができます。


除湿剤を配置する
地味に効果がある対策としては、車内に「除湿剤」もしくは「新聞紙」を配置することです。見える場所にあると貧乏くさくなりますので、シート裏あたりに配置するといいでしょう。

 
シーズン途中にチェックをしてみると・・・結構な量の水が溜まっていることがわかります。

 

シーズン明けの儀式


クラッチレリーズシリンダー(猫クラッチ対策)

そもそも、質のいいグリスを塗布しておけばリスク回避されますが、梅雨明けには「猫クラッチ」がロードスターに発生することがあります。します。クラッチを踏んだ時に「にゃー」と猫の声のような異音がするもので、原因はクラッチレリーズシリンダーのグリス切れです。新品パーツの購入でも対応できますが、DIYでも整備可能なので、チャレンジされることをオススメします。

かなり余談ですが、私は新車購入したNBロードスターでもこの現象が発生しました。そういえば、レリーズシリンダー交換したらパッタリ起こらなくなったな・・・

参考リンク:ロードスター「猫クラッチ」対策
https://mx-5nb.com/2020/04/15/mx5-cat-clutch/


ブレーキの固着
これはブレーキパッドとの相性や走り方によるものでもありますが、ブレーキディスクが鉄粉で固着していることもあります。走りだす時に「パキン」とサビ割れする音があることも。

基本的にはクルマを再始動した後、迷惑にならない場所でブレーキを複数回踏むと鉄粉が除去さるはずです。最初は低速でも「キーッ」とスキール音がするかも。ブレーキダストが固着したままだと、異音やABSの誤作動が起こることもあります。違和感を感じたときはホイール内をチェックしましょう。


フェルリッドワイヤーの固着

たまにフェルリッドワイヤーの頂点が固着することがあります。給油時にリッドが開かないと本当に困りますので、怪しそうな挙動であれば矢印の部分を押して固着を剥がすのもいいですが、心配であればシリコングリス等を塗布しておきましょう。


電装品の固着に注意

湿気が高いと電装系パーツに微妙な錆が発生することがあります。私の愛車はヒューズが固着してしまい取り外すだけでも一苦労でした。また、ロードスターは予備ヒューズがない場合もありますのでいざという時に相当困ります。予備をアクセスハッチの裏あたりに貼り付けておくだけでも安心です。

そうそう無いことかもしれませんがチップチューンまではいかなくとも、電装品が元気であることは安心に繋がります。なんか不調だな?とおもったら、ヒューズボックスを確認してみましょう。

参考:ロードスターのヒューズ交換
https://mx-5nb.com/2021/10/11/fuse-replacement/

クルマにカビが発生するなんて、さすがロードスター・・・湿気対策も楽しいですが、オープンで走れる季節が待ち遠しいですね。

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「オイル漏れ」ポイントをいくつか

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