ロードスター幌の予防整備を行う

ロードスター幌の予防整備を行う

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ロードスターの幌を長持ちさせる方法(本末転倒)


ロードスター特有の、普通のクルマでは中々ない消耗品といえば「幌」、すなわちコンバーチブル・トップです。でも、交換となるとそれなりの出費が嵩(かさ)むので長持ちをさせたいところ。

ちなみに、幌が痛む最大の原因をご存じでしょうか?


それは・・・「幌を開けること」です。つまり、オープンカーを楽しむための開閉行為が最大のネックであり、一番幌の布生地にダメージを与えます。つまり、長持ちさせるためにはオープンにする回数を減らせばいい(あるいは開けっ放しがいい)という・・・本当に笑えない話ですね。

それでも、手動幌の世界一を志して開発されたロードスター専用パーツは、よほど荒く扱わない限りそれなりの耐久性・対候性を保ってくれます。メーカーははっきり公言していませんが最低5年、もちろん10年以上も幌を張り替えないでオリジナルコンディションを維持されているオーナーもいらっしゃいます。

ロードスターの幌が破れてしまったら(公式リペア方法)

基本的にはビニール/ゴム/布といった柔らかめな素材で構成されている幌ですから、不測の事態で破れてしまうこともあります。それこそ、オープンカーが珍しかった大昔は、刃物でザックリ切られる悪戯も珍しくありませんでした。

そのあたりはマツダも分かっていて、実はNBロードスター時代にはメーカー純正の「幌補修キット」が各カラー/素材ごとにパーツリスト設定されていました。残念ながら現時点では廃版になってしまいましたが、その利用方法は「当て布」を強力な接着剤で圧着させる指定になっていました。

柔らかい素材を接着するのは非常に難しく、まだメーカー純正の接着剤(アドビージブ エイジエント:NCY0-R1-225)は注文可能です。けっこういい値段しますけどね・・・つまり、少しくらいの穴は「塞ぐ」のが正解のようです。

NBロードスター幌の弱点


NB幌の最大のメリットは、NA幌時代にビニール製だったリアスクリーンがガラスなったことです。

ちなみに、幌全体でトータル1.3kg減と軽量化に貢献したことも話題になりましたが、この「軽さ」は幌骨の見直しで達成したものであり、リアガラスの部分は「重く」なっています。その重さに耐えるために、純正幌のリアスクリーンは黒縁の枠で強力に接着されているのです。


しかし、そのリアガラスの枠は経年劣化で接着剤が剥がれてくるトラブルが存在します。しかも構造上、幌を畳んだ折り目がリアガラスの「境目」になるので、余計ダメージが蓄積されやすいのです。


ちなみに、NA時代のビニールスクリーンは幌を開けるときにスクリーンごとファスナーで外していたので(いわゆるNA空け)このリスクはありません。

なお、ビニールスクリーンを外さなくてもオープンにすることは可能ですが、スクリーンに壮大な「折り目」が残ることと、寒暖差で割れるリスクも生じるので、NA幌の方は扱い方に注意してください。(私は割りました・・・)

NBロードスター幌の弱点を回避する


私のロードスターの幌も他に漏れずリアスクリーン辺りが怪しくなってきたのでトラブル対策を行います。

本来であれば「当て布」の代わりになる幌専用の強力粘着シートをホームセンターにて購入してきました。こちら、何色か用意されていたのですが、NBベージュ・クロス幌の裏面はオリーブドラブだったので、こちらをチョイスしてきました。


このシートが優秀なのは柔軟かつ加工性に優れている事。ハサミ等で必要な大きさにカットして使用できるのが特徴です。


そこで、ネックとなるリアスクリーンの淵へ、半分の長さに加工して張り付けていきました。若干厄介なことがあるとすれば、リアスクリーンの折り目部分は「伸びる」前提になっているので、幌を開閉させながらシートに折り目を付けて圧着させていきました。


正直見た目はあまり良くないので、気合を入れるオープン時にはソフトトップカバーを付けたほうがいいかも知れませんね。でも、オープンごとにヒヤヒヤしていたスクリーンのダメージ蓄積スピードは緩まると信じています。いざとなったら、交換作業ですけどね・・・

<失敗編>

実は、このリアスクリーンの剥がれた部分に強力接着剤(セメダインスーパーX)を塗布して一週間ほど固定してみたのですが、幌を開けると見事に「バリ」っと剥がれました。どうしても力がかかってしまうんですね・・・


また、幌補修シートではなく先に強力なダクトテープ系(ゴリラテープ)も試したのですが、布地への接着は厳しく、幌を開けると「バリ」っと剥がれていきました。餅は餅屋、専用パーツって優秀ですね。

さらに、幌劣化の予防を行う


幌骨が幌と接触する部分には、もともと擦れ防止のフェルトが貼られていますが、それでも裏地にダメージが蓄積されていきます。


そこで、幌補修シートを適度にカットして、ダメージが蓄積される部分に貼りこんでおきました。ポイントは、こういった部分は幌の開閉で折り目のクセが付いているので、シートも折れる前提で張り付ける必要があります。でも、これがあるだけで安心感は大きく変わります。

最初は見た目が気になりますが、すぐに慣れてしまいました・・・

<失敗編>

以前ついていたブラック・クロス幌も裏地が折り目で割れてしまいました。

 
かつ経年劣化で素材自体もボソボソになっていたので、柔軟性のある「シート補修テープ」を用いて、広い面を保護したのですが・・・

 
保護自体はそれなりに上手くできたのですが、幌が「収縮する」前提であることに気づけず・・・つまり、冬は縮んで夏は伸びることもあり、幌の表面にシワができてしまいました(悲しすぎて写真は無し)。保護自体は悪くないと思いますが、広い面積を保護する際は気を付けたほうがいいと思います。

どちらにせよ、幌のリペアは「交換」するのが一番手っ取り早いのですが、オリジナルパーツやコストにこだわるなら、簡易補修しておいた方が精神衛生的に楽なので、お勧めです。

関連情報→

幌を骨組みごと交換する

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