NBは儲かったから還元した(C-2)

NBは儲かったから還元した(C-2)

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貴島孝雄さんインタビューの続きです。進化を続ける「NBロードスター」は、メカ的なもの以外にもユーティリティが強化されていきました。しかし、それによって「乗用車的」になったという厳しい意見がありましたが、不便をよしとするのは微妙な話です。これは、モデル継続を行う上で必要な選択でした。

貴島さんのプロフィールはこちら

IQSの影響、ユーティリティ改善


NAの時は、走ることに関係ないものは何も付けないで、軽く、安く提供することを徹底した。快適装備なんていらない、エアコンもいらない、ラジオも何も付けるなというのが平井さんの方針だった。しかし、NAが一般の人に売れてしまったのが問題になった。

アメリカにはIQS(※JDパワー:米国自動車初期品質調査)というものがあり、一般の人がクルマをクラスやカテゴリーごとの評価を行い、他車よりもヒーター効かないなどの比較がされ、点数の序列が発表される。


当時、韓国のスペックいいのが為替の恩恵で安かったから、アメリカ市場で売れてきた。そこで彼らがIQSのいい点数を取ってきた。

もちろんロードスターはクラスではトップだけど、一般車の性能が上がっていると、ロードスターは趣味車だからとても目立ってしまう。世の中の動向は無視できないので、一緒に機能や性能を上げていかなければならなかった。


ロードスターはセクレタリーカーとして認知されていたから、女性秘書などが「付け爪をしているからドアノブで爪が当たる、お客様の爪が曲がるようなノブが本当にいいとマツダは思っているのか?」とか「メインで乗っている安いクルマにキーレスがついているのに、なぜ無いんだ」なんて意見がきて、IQSの点がどんどん悪くなる。それでNBは変えることにした。

参考:

NBロードスター 海外仕様ユーティリティ

カップホルダーの重要性


特に、日本ではあまり文句いわれないけど、カップホルダーが重要だった。それも、アメリカ人は2個付けろといってきた。要は朝早くコーヒー飲みながら通勤するのに、それを楽しめる場所がないクルマなんてとんでもない。カップホルダーだけは絶対付けろ、灰皿よりもカップホルダー!っていうのがアメリカ人の特徴だった。


サイズも決められていて、「キングサイズ」が全部入らなくても、底が入って倒れなければいいという話になった。ダッシュボード側に付けられれば良かったけれどスペース的に無理で、コンソールしか場所がなく、あのスペースで作るのがとても苦しかった。なお、NCの中央はカップホルダーだけど、横は魔法瓶も入れられるボトルホルダーになる。あれの有無で評価が全然変わってくる。


ガラス幌を採用したのも、後ろが「見えない」とか「曇る」なんて安全上はいけないと思ったからだけど、IQSでも指摘されていた。そこで、骨組みに軽量化の余地があったから、ビニールの時よりも絶対に重くしないことを決めた。また、すぐに拭けないから熱線も入れるようにした。


極端にいったら、1001(※M2)とか、ああいったお客さん相手にしていたら扱いにくくてもいい。でもNAが40ウン万台売れてしまったら、どうでもいいお客さんも買ってきてセダンの文句を全部いってくる。

エンスーがこだわって作って、お客さんを説得して「こういうもんです」となると、ビジネスは下降してしまう。ロードスターなんていまは100万台売れてしまったので、スポーツ走行をしなくても「見た目」だけで買う、人馬一体も関係ないお客さんが買ってくれる。すると、その人たちの言い分を謙虚に聞いておかないと駄目になる。

それを100%聞くわけではないけれど、変えてやった方がいいところを選択して、NAもNBもNCも変えていった。残念ながら、それがスポーツカービジネスの継続に繋がる。

参考:

ロードスター、カップホルダーと灰皿の歴史

儲かったNBロードスター


「スポーツカーは儲からない」なんていうけど、おかげさまでNBはとても儲かった。デミオやアクセラが流れる宇品第二工場のラインで、パーツ点数や工数などもこだわって、とても安いコスト出来ている。だから、お客様に還元することが絶対に必要だと思って「標準車」を作った(※NB1のパワステレス、エアコンレス 車重990kg)。


お金がないけれど脚だけはカッチリさせたいという要望で「NR-A」も作ったし、「ウェブチューン」も日本限定だったけれど実現させた。ロードスターはアフォータブルな価格、頑張れば買えるという存在でなければ駄目だから、そういう還元を行った。

参考:

WebTuned(ウェブチューン)NBロードスター

駄目ではなくて、OKのために何をするか。出来ないとなったら、どう改善策を取り組むか。そして、目標に入れるためいかに考えるか。ここの性能を諦めたら安くなるなんて、そりゃ安くはなるけれど、魅力も落ちるものではいけない。魅力を落とさずコストも目標達成することに価値が出てくる。エンジニアはそれをやり遂げないといけない。

次回に続きます

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