ロードスタークーペその後(Coupe4)

ロードスタークーペその後(Coupe4)

ロードスタークーペの販売計画


1989年のユーノス・ロードスター発表から約14年、企画段階から存在していた「クーペモデル」は2003年に極小量生産という前提でリリースされました。

言葉の通り「手間」が掛かっているロードスタークーペは、職人魂(=手作業)溢れる工程を経て生産され、国内限定販売となりました。決定していた生産要件は以下の通りです。

<予定>
生産台数 40台/月(2台/日)
生産期間 20ヶ月(2003年10月9日~)
総生産台数 800台
(下記仕様は受注期間2004年4月30日まで)
・Type-A 200台
・Type-E 150台

ポイントとしては2003年10月から20ヶ月、つまり2005年6月まで生産予定となっており、NCロードスターのプレスリリースが2005年2月28日なので、NBロードスター販売の最後までラインナップ予定であったことが読み解けます。

しかし、2004年12月にマツダ宇品第1工場塗装ラインで火災が起きてしまい、マツダは複数車種の混流生産を行っていた関係で、ライン復旧後はデミオなどの主流車種が優先されることになりました。

その結果、モデル末期だったNBロードスターとともにニッチ車種のロードスタークーペは、予定通り生産されることがありませんでした。

ロードスタークーペ生産台数


2004 RoadsterCoupe TSコンセプト

なお、ロードスタークーペには派生車種が存在しています。こちらは福田成徳デザイナーがイタリアンコンパクト(アバルト)にインスパイアされて作られた「TSコンセプト」です。

60年代のレトロな雰囲気で「週末にはクラブマンレースに参戦し、帰りにはカフェで仲間と語らう。ライトスポーツエンスー向け」といったコンセプトで、2004年のオートサロンにて発表されています。


ベース車両はCoupe Type-Sで、特徴的なフロントマスクだけでなく、フェンダーミラー、リアアンダースポイラー(NBターボ用)、テールライト、センターマフラー(白)と、小粋なカフェレーサーを演出しています。メーカーデザインならではのまとまりは流石です。


2004 オートバックスセブン mono CRAFT mm1
そして、この派生車種はオートバックスセブンより「monoCRAFT mm1」というカスタムカーとして販売されました。販売目標100台でしたが、先のマツダ工場火災によってデリバリーされたのは29台のみ。価格は1.6リッターが315万円、1.8リッターが357万円でした。

「TSコンセプト」との違いは、クーペからの変更点がフェイスのみで、リアはロードスタークーペそのままの状態でした。ボディカラーはクーペに準じて赤、白、銀の3色です。

そして、クーペ全体の生産結果は以下の通りになります。

RoadsterCoupe(NB7)
生産数 179台

<内訳>
Type-S/Coupe:116台
(うち、mm1 29台)
Type-A 40台
Type-E 23台

※ロードスタークーペは改造申請車両であることから、シリアルナンバーが700,000番からスタートしており、NB7という表記にしています。

参考:

NB4/NB7ロードスター 国内販売傾向

同じ価格でRX-7が買える


生産予定期間を鑑みると1年以上(14ヶ月)あったので、14ヶ月×40台=560台という計算になるのですが、ロードスタークーペは価格帯に悩まされることにもなりました。

ベースグレード(Coupe)が約235万、Type-Eが280万、Type-Aは310万円。(※消費税率が違うので、現在価格に換算するともっと高い)

当時NBロードスターのベースグレード価格が約200万円、NBロードスターターボが約270万円、RX-8が約240万円、もう少し予算があれば極上のRX-7中古が買えてしまうという、マツダのラインナップにもライバルが存在している状況でした。

クラフトマンシップ溢れる製造工程は、知る人ぞ知る・・・くらいの周知状況で、表立ったプロモーションもなく「クーペスタイル」という美しさだけの訴求では、芳しくないセールス結果になりました。そこへ工場火災による生産中止がかさみ・・・

しかし2020年現在、もともとの存在のレアさとNBロードスターの再評価も相まって、恐ろしいほどの中古相場が高騰しているのは皮肉なものです。しかし、その想いは次世代に受け継がれます。

参考:

ロードスタークーペ 価格高騰(NB7)

ロードスタークーペの後継者


2005 MX-5 Roadster Coupe
国内のNCロードスターはRHTというグレードですが、海外名は「MX-5 Roadster Coupe」としてリリースされました。いわずもがなリトラクタブル・ハードトップ仕様のロードスターは、NDロードスターがリリースされていた2016年の時点でも北米ではカタログラインナップとしてしばらく併売されていました。


2008 光岡 卑弥呼
キャッチコピーは「宝石すら嫉妬する」。
NCロードスターRHTは光岡自動車の「卑弥呼」として現在も販売されました。2016年6月より英国でも「Mitsuoka Roadster」として販売開始。こちらはRHTの完成車両を分解、職人が手作業で組み立てています。


ベースのNCよりホイールベース700mm延長する、まさにフルカスタマイズ車両。メーカーは違えど、ロードスターベースのクーペとして、NBクーペと近しい制作手法がとられているのが特徴です。

なお、現行型はNDロードスターベースになっていますが「幌」仕様のみになります。


2017 ロードスターRF
純然たるクーペではありませんが、RF(=リトラクタブル・ファストバック)という新しいネーミングにて、バットレスのハードトップ仕様も発表されました。

ロードスタークーペまとめ


複数回にわたり紹介したロードスタークーペ、その開発背景から発売までの道のり、そしてその後まで振り返りましたがいかがだったでしょうか。

このような企画が通ったのはマツダのチャレンジ溢れる企業文化を感じるとともに、メーカーカスタマイズとしての完成度は今の目で見ても素晴らしいものでした。


すでに熟成されていたNBロードスターという素材の良さもあるのでしょうが、「国産車最後の5ナンバークーペ」という存在は、小型スポーツカーというジャンルの最後の意地だったようにも感じます。

そんな歴史のひとコマが、ロードスタークーペという存在でした。

関連情報:

ロードスターRFに「RHT」の片鱗を見た

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