この記事を読むのに必要な時間は約15分です。
市場投入される新車には、プレスキット(メディア用広報資料)がメーカーより配布されます。それはもちろん歴代ロードスターにも存在し、グローバル展開するロードスターは海外向け資料も公開されます。
日本車であれば日本語をローカライズしたものが基本ですが、(そういう時代であったのか)NBロードスターに関しては国内とは別の表現で紹介されています。
そこで今回はMX-5(1998)・・・NBロードスターのプレスキット内容をご紹介します。
新型MX-5 エクステリアの概要
Mazda designers at the company’s four centres shared a singular purpose: Create a lightweight sports car and, above all, create the MX¬5. Remarkably, they arrived at the same design statement – the MX-5, pure and simple.
This was to be no cosmetic updating of the popular theme. Because the entire MX-5 development group cherished the MX-5’s Soul and Spirit, rather than a “concept,” the word “exterior” does not express the design team’s objective. It is the car’s “Physique” they forged and built.
世界に4拠点あるマツダデザインセンターのデザイナーは、特異なライトウェイトスポーツカーであるMX-5のデザイン検討を始めるということのみを共有しました。そして驚くべきことに、彼らが提示してきたMX-5は同じデザインの方向性、ピュアでシンプルなものになっていました。
つまり、これは流行りのテーマで表層的に取り繕ったものではありませんでした。MX-5は開発グループ全体がMX-5のソウル(魂)とスピリット(精神)を大切にしていたためで、単なる「外装」の変更では設計チームの意図を表現できないからです。そんなものは嘘っぱちのクルマになってしまいます。
オリジナルデザイナー トム俣野氏より
The original MX-5’s youthfully contoured and smoothly rounded shape and cheerful countenance – often described as “cute” – won the heart of many a sports car aficionado around the world. The new MX-5 still has that adolescent charm, yet it is thoroughly disciplined and trained to be more muscular and tauter, conveying strength within.
米国カリフォルニア州アーバインにあるマツダのR&Dスタジオのチーフデザイナー俣野勉は、新しいMX-5の設計チーム全体のアイデアを表現しています。「ロードスターが100メートル先から近づいてくるのを見ると、それはMX-5であると認識できる。50メートルでMX-5であることが嬉しくなる。目の前で止まると新型MX-5だ!と分かる。新しいMX-5はそのようなクルマなのです。」
オリジナルMX-5の若々しい輪郭と滑らかな丸みを帯びた形状、そして「キュート」ともされる柔らかな表情は、世界中多くにいるスポーツカー愛好家の心をつかみました。新型MX-5はそんな若々しい魅力を引き継ぎつつも、ボディは徹底的に鍛えられ、内なる力が伝わってくるものにするべきなのです。
プログラムマネージャー 貴島氏より
プログラムマネージャーの貴島孝雄によると、車格をあげるためによりワイドなボディにする指示を受けたことを告白しています。しかし、彼はデザインも含めて重くなるようなものは全て否定しました。
それを念頭に置いていた盟友であるチーフデザイナー林浩一は、ピンと張った強い肩(※トランク脇)から腰(ロッカーパネル)まで流れるスケッチでスポーティーさを表現しました。そのために林は、フェンダーフレアをわずかに延長することで最適なバランスを実現したいと貴島に告げると、彼は各フェンダーで1.5mmのみの延長を許可しました。
この延長は取るに足らないものに聞こえるかもしれませんが、本当に劇的な効果をうみだしています。
デザインと機能性の融合
The door handle is a new, flush-mounted and colour-keyed design with functionality as its primary objective. It has a larger and deeper recess for easier operation.
新型MX-5のドアの分割線は流麗なラインになっています。さらに、このリアホイールアーチ部分はボディ剛性の強化にも寄与しています。
ドアハンドルも大幅に機能性を高めました。ボディカラーでフラッシュマウント(埋め込み)された新しいデザインです。誰でも容易に扱えるよう、大きくて深い凹部になっています。
フェイシアデザイン(フロント)
The face of the MX-5 is eyes and mouth. In the original car, the eyes were the auxiliary lamp clusters. Now the eyes are open with clear purposes; illuminate the road effectively, and be lighter in mass in the dynamically critical front overhang. The lens and reflector are designed to create a jewel-like impression.
The mouth is friendly as ever, yet more functional, the larger air-intake with perhaps a hint of seriousness about it, providing better cooling. The sculptured facia/bumper face flows into the car’s lower flanks and bonnet. A separate, small spoiler behind the facia/airdam is standard on all models. It improves under-floor airflow, and contributes to straight-line stability and steering response.
The bonnet is exquisitely shaped toward twin peaks that are formed by it and the top of the fenders. It has a subtle central bulge, a functional necessity to leave, literally, plenty of breathing space for the engine.
MX-5のフェイスには目と口があります。オリジナル(NA)の目は補助ランプクラスタ(ウインカー)でしたが、今回は目(ヘッドライト)として見開き、機能をします。これは路面を効果的に照らすとともに、フロントオーバーハングの軽減も実現しています。また、レンズリフレクターは宝石をイメージしたリフレクションをうみだしています。
変わらない親しみやすさのある口は、空気口を大きく取りました。深刻にならずフレッシュエアーを送り込める構造です。フェイシア(フロントバンパー)はクルマの下部から側面、ボンネットに流れ込む波のようなラインがあります。また、フェイシア・エアダム(バンパー下部)には小さなスポイラーが全てのモデルに標準装備。これは床下で空力特性に貢献し、直線安定性とハンドリングに貢献します。
ボンネットは、フェンダーをツインピークにした(頂点にして)絶妙な造形です。中央にうっすらと膨らみがあり、エンジンスペースを確保する機能を表しています。
フェイシアバンパーデザイン(リア)
The rear deck repeats the front end’s twin peak theme from which it rises onto a gentle central hump integrating a high-mount tail lamp. A raised rear deck contributes to aerodynamics improvements, reducing lift. The sculptured facia/bumper blends into the luggage lid, creating an integrated rear-end design, which strengthens the new MX-5’s sporting personality.
後端は、特徴的な長方形テールランプクラスター(テールランプ)により、すぐMX-5として認識でき、それはボディサイドまで包み込みます。クラスターには、テール/ブレーキランプ/方向指示灯/リバースランプそしてリアフォグランプで構成されています。フォグランプはヨーロッパでは特に重要な安全機能であり、デザイン開発の初期段階からランプクラスターに統合することが決定されていました。
リアデッキもフロントエンドのツインピークテーマを踏襲しており、そこからハイマウントテールランプを組み込んだ緩やかな中央のふくらみの造形で構成されています(※いわゆるダックテール)。リアデッキを高くすることで空力性能が向上し、揚力は低下します。彫刻が施されたフェイシア/バンパー(リアバンパー)はラゲッジリッド(トランク)の造形に融合し、一体感のあるリアエンドデザインを生み出し、新型MX-5のスポーツパーソナリティを強調します。
関連情報: