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ボディカラーの白は、なぜ定番なのか
自動車のボディカラーといえば、現時点で定番なのは白、黒、グレー・・・辺りが思い浮かぶかと思われます。しかし、かつて「白」は人気色ではなかった・・・という事はご存知でしょうか。それは日本車のボディカラー・トレンドの客観的なデータからも分かります。(出典:JAMA自工会)
60年〜70年代は極端に「白」が少なく、むしろ一番「黄色」が出ている年までありましたが、これは二つの理由があります。
一つは塗装精度の問題です。当時の技術では純粋な「白」が表現できず、塗料はどうしても黄ばんでしまっていたそうです。
もう一つは、戦後の高度経済成長においてパワーを感じる「有彩色」を求めたという時代背景があります。当時のカラーテレビのケースが赤かったのも、それが原因です。
加えて70年代はベトナム反戦運動の機運が高まり、ナチュラル色(ブラウンやオリーブ)を若者が好んでいたこともありました。この頃のクルマって、シビックのようなオレンジ色のイメージが強いですよね・・・
人気が爆発した「スーパーホワイト」
そしてバブル景気直前の80年代、ついにトヨタの「スーパーホワイト」が登場します。
ソアラのスーパーホワイトといったら乗っているだけでモテるという都市伝説があるくらいのデートカーですが(クルマでナンパが成立する時代!)、技術革新によって漂白したような「白」の表現が可能になり、ついにホワイト主流の時代が訪れます。一時期は世間で走る新車において、3/4が「白」だった時代もありました。ちなみにトヨタの「スーパーホワイト」は2、3と進化し、現在は「スーパーホワイト4」まで存在します。
なお、この時代のキーワードは「デジタル」「ブランド」「都会的」「個性的」といったもので、ここから「洗練感」「先進感」を表現することがトレンドでした。・・・1周回ってレトロカッコイイですよね。
バブル経済の終焉と「銀色」の時代へ
90年代はついにバブル景気が終焉を迎えます。バブル絶頂期にはシーマ・セルシオ現象という高級車がバンバン売れる時代があり、その影響で「暗色」ブームもありましたが、現在の価値観では一部の高級車で生き残るのみとなりました。
そして、この時代を脱却したい気持ちろ、傷が目立たないリセールバリューの高さから、「シルバー」がボディカラートレンドに加わるようになりました。ユーノスロードスターの「シルバー(シルバーストーンメタリック)」も(当初は)日本限定のボディカラーだったくらいです。
2000年代において、国産車ボディカラーのトレンドは大きく変わりませんでした。技術革新で生まれたビビッドな色がコンパクトカーで採用されてはいましたが、新たな流れとしてはメーカー自体がブランドカラーを設定するようになっていきます。マツダなら「赤」、スバルなら「青」、日産なら「銀」のような感じです。
現在の自動車トレンドカラー
近年は毎年、アクサルタ社(自動車塗料原料メーカー)から、世界の自動車カラートレンドがプレスリリースされます。世界的なトレンドは白、黒、銀、グレーの無彩色が80%を占めているようで・・・一時期よりも「白」の割合は減ったとしても、ある意味時代を反映している結果な気がします。
なお、日本において「白」の割合は36%であり、85年の80%を超えていた時代からは脱却していますが、それでも一番人気のボディカラーです。
艶やかな色が少ないのが不評なNDロードスターも、このトレンドを踏まえたカラー設定でしょうから、そう考えたら納得のチョイスです。30周年記念車の「レーシングオレンジ」って、本当の意味で記念カラーなんですね・・・100周年記念車は時代に即したチョイスということでしょうか!
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