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エンジンルームから白煙がでて急いでディーラーへ持込むも「貴方のロードスターは違法改造だから直せない」と拒否される絶望感。NB純正オプションでも正しいことが証明できないと泣きをみます。当サイトに保安基準の説明が多いのは、そんな理由です。
冬のドライブ日和、ロードスターから白煙が
2019年1月、あれは元旦の喧騒もひと段落し、新たな日常生活が始まった中旬の出来事でした。
冬場独特の凛とした空気のなか、空は抜けるような青空。そんなドライブ日和の週末早朝、地元のミーティングに向かうため、ロードスターを運転していました。
走行しながら、本当にたまたま「愛車の走行距離はそれなりに行ってるので、怪しいところも出るかな・・・でも、今日はやけに調子がいいな」と頭の中で思い、国道17号線でアクセルを踏み込んだ矢先の出来事でした。
アクセルが抜けるような嫌な感覚と、なぜか車内にラジエター液の臭いが充満しました。匂いの出所を確かめるとレジスター(エアコン噴き出し口)からうっすら白煙が出ており、さらにボンネットからも白煙がみるみる上がっていきました。
オーバーヒートか!?と、愛車の危機を思いながら周りを見渡すと、道先にガソリンスタンドがあったので、そこに停車して店員さんに事情を伝えました。
駐車に快諾をいただいたのでエンジンルームをチェックすると、エンジン奥のホース欠損が確認できます。アクセルを踏むと圧でラジエター液が漏れて、エンジンの熱でそれが蒸発して白煙になっていたのでした。車体の足元は漏水で緑色の水たまりになっています・・・
とりあえずスマートフォンで検索をかけると、数百メートル先にマツダディーラーが確認できました。そこで、スタンド店員さんのご好意でラジエター液の補充をいただき、そのままマツダまで愛車を移動させることにしました。心中、エンジンが焼きつかないか気が気でなく、水温計を眺めながらも何とかたどり着きました。ロードスターが駄目になるかも知れないと思うと、僅か数分が無限の長さに感じました・・・
違法改造の疑いと、関係各所の神対応
とりあえず、ロードスターはその「出先のディーラー」に預けることになり、電車を乗り継いで帰宅しました。そして夕方、一本の電話がそのディーラーから入りました。内容をざっくり書くと「あなたのロードスターは違法改造の疑いがあるので、修理をすることはできない」というものでした。
違法改造車を整備できないオフィシャルディーラーの方針は理解することはできますし、それは全く当然だと思います。しかし、身に覚えがないことも事実です。
そこで、近所のマツダディーラーで車検をクリアしていた履歴を検索してもらい、なおかつ怪しい箇所のエビデンス(証明)を関係各所から確保することで事なきを得たのでした。※実は、損保会社も事情を理解いただき「モメて大変であれば、別のディーラーに無料輸送します」と、アドバイスもありました。
なお、違法改造の指摘を受けたのは、下記2点になります。
→NBロードスター純正ディーラーオプション、マツダ本社の見解は下記リンクにて
https://mx-5nb.com/2019/12/08/clearmarker/
②デルタ工業のセミバケットシート
→純正シートレールを使用した、車検対応シート
https://mx-5nb.com/2020/07/13/seat-exchange/
実際、シートメーカーのデルタ工業はCX-5やロードスターの純正シートを納品している会社であると伝えても、(当たり前ですが)「証明書がないと信用できない」と告げられました。かつてはディーラーでも購入できたシートではありますが、15年前の用品データなんてWebにも存在しないし、最大の手落ちはシートの証明書を紛失していたことでした。
結局ロードスターはディーラーのバックヤードに放置。週明けマツダ本社に連絡をとり、上記リンクにある「クリアサイドマーカー」に関する正式見解を得ました。
また、シートメーカーのデルタ工業にも連絡、当時の購入履歴などをもろもろ調査いただきました。そのうえで、セミバケットシートの「保安適合証明書」を再発行いただくことができました。(長年愛用したシートを手放さずに済んだのは僥倖でした)
白煙の原因は、経年劣化したホースのピンホール
当時のマツダディーラーではスカイアクティブDのリコールがあり、修理には時間がかかると告げられていましたが、各種エビデンス(証明)を提示後に作業開始。メカニックさんには本当にご尽力いただき、無事にロードスターは帰省することができました。
今回、派手にLLC(ロングライフ・クーラント)液をまき散らしましたが、原因はラジエターの破損ではなくヒーターユニット側の「パイプ破損」のみでした。このパイプはエンジンの奥にあるので、パワーユニットの熱をもろに直撃して、さらに経年劣化を起こしたとのことです。
場所的には矢印のパーツになるのですが、ホースのピンホール発生(針でついたような小さい穴)による漏水のみで、エンジンのオーバーヒートは免れました。しかし、エンジンルームを始めとしたパワートレーンにはLCCが焼けた独特の匂いが充満していたので、スチーム洗浄で対応しました。
補修したパーツ自体は「ヒーターホース2本とクランプ4個」です。価格はざっくりと1,200円×2(税込)で、全体では3,106円と、想定外にリーズナブルでした。
なお、現役当時のホース価格は800円位なので、現状のパーツコストは約1.5倍になっているようです。ただ、パーツが出ること自体はかなりありがたく、供給継続のひとつのきっかけであるNAロードスターのレストアプランにあらためて感謝することになりました。※もちろん工賃は別になります。
愛車は販売から15年以上経っているので、当然未病メンテナンスを行うべきだったのですが、予兆がなかったので気にしていませんでした。また、自宅から離れた出先のディーラーで指摘された事項は、色々な意味で勉強になりました。
結果的に、大事には至らず済んだのは幸いでしたが、今後の予防のために各種見積もりを確認し、この騒動はひと段落しました。なお、見積もり箇所は下記の通りですが、どこが最初に来るのかわかりません。ただ、メカニックさんからは「ぜんぜんまだまだイケます」とアドバイスをいただきました。
・ラジエター周り
・サーモスタット周り
・ブレーキライン周り
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