ワイドなUSDMロードスター「ZOOMSTER」

ワイドなUSDMロードスター「ZOOMSTER」

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どんなクルマでも平たくすればカッコ良くなるとは某デザイナーの言葉です。そして、約20年前にSEMAショーでプレゼンされたNBロードスターのカスタムカー「ズームスター」は、ワイドブリスターフェンダーの精度が高すぎる、一瞬ノーマルボディに見えてしまう逸品です。

世界3大チューニングショー


自動車趣味のひとつには、愛車を自分好みの仕様にカスタイズする文化があります。

そのプレゼンイベントとして最も有名なのが、主に年始に行われる「東京オートサロン」(今年はオンライン開催をおこなうそうです)。私見ですが、年末に行われる東京モーターショーがフォーマルで文化的なイベントだとしたら、オートサロンはそこに真っ向勝負する、学園祭のような緩さと華やかさが特徴です。


オートサロンはチューニングメーカー(ショップ)やカスタマイズビルダーが自身のアイディアや技術力を披露し、そして研鑽する場のイメージが強いですが、ここ近年は自動車メーカーも来場者の熱量に注目し、コンセプトカーや、ニューカーを発表する場として活用しています。

そんなチューニングカーのイベントは、もちろん世界各地でも開催されています。

日本のオートサロン、ドイツのエッセンショー、そして毎年秋にラスベガスで開催されるSEMAショーが、世界三大チューニングカーショーと呼ばれています。(※2020年は新型コロナウイルス対策のため、オンライン開催になりました)

なお、カスタムにはJDM(Japanese domestic market)という日本仕様をイメージしたものと、USDM(United States domestic market)と呼ばれる北米市場をイメージしたものが存在します。

そのようななか国内仕様のロードスターではなく、MX-5/Miataのカスタマイズカーは、古くから会場のショーに華を添える存在になっています。今回は、そこで発表された一台をピックアップします。

2001 “Zoomster” Miata Concept

この情報は「Miata.net」より引用しています。
リンク→https://www.miata.net/news/zoomster.html

Style Imagineering has created the ultimate Mazda Miata.

With turbo charged performance, superior handling, incredible stopping power, mind blowing electronics and eye catching wide body styling, this Miata gives “Zoom Zoom” a whole new meaning.

スタイルイマジニアリングは、究極のマツダミアータを生み出した。

ターボチャージャー付きのパフォーマンス、優れたハンドリング、驚異的なストッピングパワー、もちろんオーディオにも抜かりはない。目を引くワイドボディ・スタイルのミアータは、「Zoom-Zoom(走る喜び)」に全く新しい世界観を提供する。


このチューニングカー「ズームスター」のベースモデルは「Miata LS」なので、日本のRSグレードに準拠します。

一見、奇麗なイエローのミアータに見えますが、よく観察すると違和感なくかなりのワイドフェンダーへカスタムされていることが分かります。ロッカーパネル(ボディサイド下部)に取り付けられたエアインテーク付きのサイドステップをみれば、サイズの違いが確認しやすいはずです。

フロント4インチ(約102mm)、リア6インチ(約152mm)拡大なので、NBロードスターの諸元から換算すると1,780mmを超えることになります。つまり、NDロードスター(1,735mm)よりもワイドボディなNBロードスターなのです。これ、違和感がないブリスターフェンダーのフィニッシュって、普通にものすごい仕上がりではないでしょうか・・・


スペック通りのボディにすると、こんなイメージです。NBデザイン選定時に北米より提案された、一回り大きい次世代案を彷彿とさせます。

参考)→https://mx-5nb.com/2020/02/21/nb-design3/

ZOOMZSTERのディティール


パワートレイン

パワーユニットはBEGI&Flyin’Miata製ターボを採用し、そのパワーを受け止める強化クラッチ、Burret社の排気系でリファインをおこなっています。UMP(Unique Metal Products)の個性的なストラットタワーバーがエンジンルームで主張をしています。


足周りはビルシュタインPSSのサスペンションと、ベア社のブレーキシステム、AXXISブレーキパッドを採用。レーシングハーツのアロイ(ホイール)には、スポーツパターンのタイヤ・ファルケンFK-451を装着しています。


エクステリア

ワイドボディに合わせてカスタムされたフロント/リアフェイシア(バンパー)をはじめ、ボディ全体にはマイカ塗装ではなく、カスタムパール・ネオンイエローが塗装されています。

また、他で見ることのない面白いポイントが、一見ロールバーに見えるカスタムウイングです。これは空力パーツとしてワンオフでUMP(Unique Metal Products)で制作されたもので、(機能のほどは定かではないですが)ロールバーやエアロボードとは違ったアプローチをとっているところが新しいですね。


インテリア

センターコンソールをアルミパーツに置き換え、Eclipseのオーディオ/ナビシステムをインストール。バケットシートはレカロ製です。


また、トランクルームにはThunderworksによるオーディオ/ビデオシステムがインストールされています。他車ではよく見るカスタムですが、ロードスターでは初めて見たかもしれません・・・


なお、国内でも初期MPSコンセプトにて、近しいアプローチが行われていますが、こちらはオーバーフェンダー仕様。日本と海外のフィニッシュ違いも見比べるのも、なかなか面白いです。

参考)→https://mx-5nb.com/2020/01/16/mps-2/

モアパワーの要望がある北米文化のなかで、パワーユニットに手を入れるのは当然として、一見純正然としているエクスリアの仕上げには、さすがカスタムカーの本場であると、感心してしまいます。

どんなクルマでも平べったくすればカッコよく見えるとは、誰が行ったか失念しましたが・・・そんなワイドボディなミアータのご紹介でした。

関連情報→

ロードスターRFに「RHT」の片鱗を見た

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