ロードスター 各世代の型式

ロードスター 各世代の型式

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クルマの「本体」は車台と定められている


クルマに魂が宿る・・・なんてオカルトな話ですが、仮にあったとしたら「それ」はどこ存在すると思いますか?人間だったら「心臓」とか「脳」をイメージするかもしれませんが、それをクルマに置き替えると「エンジン」や「ECU」を指すので、そこに魂が宿るか?といわれたら、いまいちしっくりきません。

ただ、クルマ「本体」そのものは、実は明確に定義づけられています。それは車台(フレーム)・・・つまり骨格部分です。それは「車台番号(シリアルナンバー)」として公道を走る全てのクルマが個別に登録されており、車検証を確認すると「型式番号」とセットで記載されています。

型式番号とは、ロードスターであれば「N系マツダFRプラットフォーム」で組まれている、そのボディ本体を構成するセットのコードです。例えば単純に「NB6C」と記載されていても、メーカーはフレーム(車台)だけでなくサスペンション、ステアリング、パワートレイン、さらに車両の全長、全高、全幅、最低地上高を始め保安基準の適用要件等を申請しており、そのうえで「NB6C」というコードを取得しています。

一方でフレーム本体を突き詰めていくと、いわゆる「ホワイトボディ」の状態にまで遡ります。繰り返しますが、全世界で生産されるクルマには車台番号(シリアルナンバー)がつけられており、改ざんできないようにフレームへきっちり打刻されています。打刻はメーカーもしくは運輸支局等以外はやってはいけない法規があり、原則的に「車両が解体される(=廃車)」まで変更になることはありません。

つまり「クルマ」の個体を明確に定めるものはフレーム・・・つまり骨格を指すのです。

ロードスターの車台番号・打刻位置


国土交通大臣が認可する車台番号はフレームの刻印や車検証だけでなく、ボディに貼られているコーションプレートでも確認ができます。ちなみに国内では「型式番号―車台番号」になっていますが、国産車でも海外向け仕様は「VINコード=個体識別番号」として記載されています。余談ですが、例外としてUDトラックス全車両とアバルト124スパイダー(マツダ産)のみ、国産車でもVINコードが採用されています。

かつてはレーシングカーを造るにあたり、メーカーから「ホワイトボディ」を購入する・・・なんて事もできましたが、その状態では車台番号が刻印されていないので、もちろん公道を走ることはできません。また、盗難などで車台番号の打刻が切削されたり、事故などでフレーム交換を行った場合には運輸局で車台番号の再打刻を受ける必要があります。

これは「職権打刻」というもので、元の車台番号を塗抹する「フレーム交換許可書」の交付がなければ作業を進めることができません。また、その許可申請には、新しいフレームの販売証明書が必要であり、さらに交通事故の場合は交通事故証明書がで・・・職権打刻にはそれなりの手間がかかります。

実は、それでも2000年代前半まではホワイトボディをメーカー購入して、職権打刻の申請をしてまでレストアを行うこともあったようですが、近年はほぼ内容です。ホワイトボディは鉄塊ではなく防錆処理された状態で来るそうですが、脚(タイヤ)のついていない巨大なフレームをラインから抜き出し、さらに運送するにはかなりの工賃がかかるし、そもそも、現行車以外のフレームを製造しているメーカーはほぼありません。現実的に、レースカーも近年はホワイトボディを購入するより、既存のクルマを全バラして造られることが多いようです。


ちなみにロードスターの車台番号は、NAからNCまでは軽度の衝突では損傷を受けないであろう、エンジンルーム内の隔壁(バルクヘッド)に打刻されています。


NDとその兄弟車はけっこう凝っていて、右席カーペットの下に「VIN(=個体識別番号)」と記載されている蓋があり、その中で確認することができます。

ロードスターの型式番号


当サイトはもちろん、ロードスターの世代を指す固有名詞として引用されるのが、各世代の型式番号におけるアルファベットです。先にも書いた通り、ロードスターは「N系マツダFRプラットフォーム」で組まれているので、「N」から始まるコードが割り当てられています。いわゆる、NA6CE(ユーノスロードスター)とかNCEC(NCロードスター)などです。

マツダNプラットフォーム(FRスポーツカー用)
コード 車両 年代 国内型式番号
NA ユーノスロードスター
Mazda Miata/Mazda MX-5
1989-1997 NA6CE/NA6CA
NA8C
NB マツダロードスター
Mazda MX-5 Miata/Mazda MX-5
1998-2005 NB6C/NB8C
NC マツダロードスター
Mazda MX-5
2005-2015 NCEC
ND マツダロードスター
Mazda MX-5
2015-現在 ND5RC/NDERC
NE 当初アバルト用に割り当てたが、現在欠番
NF アバルト124スパイダー
Fiat124spider/Abarth124Spider
2016-2020 NF2EK

面白いのは「NE」のコードが欠番になっていることです。当初、NDの兄弟車である124スパイダーにはNE/NFのコードが当てられ、アバルト/フィアットとして登録される予定だったのですが、124スパイダー登録直前に「NF」へ一本化されたことが判明しています。つまり、次世代(5世代目)は「NEロードスター」であることが、ほぼ確定でしょう。

海外では、例えば欧州だけ販売された「1800ccのNCロードスター」が「NC8C」というわけではなく、17桁のVINコード(個体識別番号)によって、車台番号とともに仕様がわかるようになっています。もちろん一定のルールはあるのですが、それこそドアトリムやエアバッグの数、年式などで細かくコードが変わるので、解析チームの労力は、海外のフォーラムでたびたび話題になっています。

したがって、海外のミアータたちも国内と同様に「NA」や「NB」、もしくは「MX-5mk2FL(マーク2・フェイスリフト)※NB後期型」や「MX-5Gen4(ジェネレーション4)」などで世代ごとに振り分けています。なお、現行NDロードスターはモデルイヤー制を取り入れていて、車台番号だけでも7種類存在することと(100,000~650,000)、近年のモデルにしては珍しくエクステリアの大幅な変更もないので、「2021 MX-5」のような年式の記載がメジャーになっています。

コード 車両 年式 国内型式番号
NA M2 1001 1991 NA6CE改
M2 1028 1994 NA8C改
NB マツダロードスタークーペ
モノクラフト MM1
2004-2005 NB6C改
NB8C改
NC ミツオカ・ヒミコ 2008-2017 NCEC改
ND ミツオカ・ヒミコ 2018-現在 ND5RC改
ミツオカ・ロックスター 2018 ND5RC改


珍しいところでいうと「N」プラットフォームにも公認改造車・・・つまり型式に「改」と記載される、合法的に公道を走ることが認められている車両も存在します。調べてみると各世代にわたりいることから、ロードスターがカスタマイズベースとして重宝されていることが分かりますね。ちなみに、NCのカスタマイズカー「モノクラフト・MH1」は「NCEC」のままのようです。

クルマの魂はどこに宿るか?そう考えると、替えの効かない「ボディ(フレーム)」に宿っている・・・と考えるのが妥当なのかもしれません。ボディが腐る時は、そのクルマが死ぬとき?・・・冗談はさておき、世界に一台しかない愛車は大切にしたいですね。

関連情報→

NBロードスター VINコード(海外仕様)の話

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