ロードスタークーペ コンプリートカーmm1(後半)

ロードスタークーペ コンプリートカーmm1(後半)

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前回に引き続きコンプリートカー「mm1」の話を続けます。

カスタマイズカー事業のスタートアップ


マツダ自身がさまざまな理由から市販化を断念したロードスタークーペ「TSコンセプト」。しかし時代の潮流が手を差し伸べることになりました。

当時、本格的な流行が見込めそうなカスタマイズカー事業において、カー用品店を手掛けるオートバックスセブン社が、自社ブランド「mono CRAFT」シリーズのスタートアップに「TSコンセプト」を指名したのです。

そこで、最小限のリファインを行うことで市販化の目処を立てていきました。


2004 オートバックスセブン 「mono CRAFT mm1」 30台限定
ロードスタークーペ(NB6改、NB8改)ベース
(※うち1台はSGリミテッド1600ベースの幌車)

ブランドコンセプト
「mono CRAFT」は「乗る楽しさ、眺める楽しさをテーマに、個性的な車をより多くの方に楽しんでもらいたい」ということをコンセプトに、コンプリートカーの提供製作・販売を行うカスタムカーブランドとして誕生しました。

なお「mm1」のネーミングは社内コードネームを採用したとありますが、当時のロードスター専門誌にはマツダ好きの魂を込めたという記載もあります。

市販化に至るモデファイ


「mm1」はマツダが出来なかった安全要件をカスタマイズカーという立ち位置でクリアしました。つまり、完成車をオートバックスセブン社が購入し、それを「カスタマイズ」して販売するものとしたのです。最大の懸念点、構造変更に関わるレーンフォースメントもオーバーハングを削り取って対処し、外装もFRP成型で良しとしました。


フロントグリルが「TSコンセプト」よりも大きくなっているのは、牽引フックの使用角を45度以上取らなければならない車検上の理由です。しかし、コンセプトのイメージを上手く引き継ぎ、凸部を無くしたバンパーはむしろオリジナルよりも洗練された、魅力的なフェイスになっています。


ただしリアセクションに関しては、テールライトも含めノーマルのクーペと同一になっています。(それでも魅力的なリアビューですが)


実は「TSコンセプト」で流用されたクーペフィアットのテールパーツは、奥行きがあるためにフレーム部分を切削せねばなりませんでした。そこで新規パーツを製作してコストをかけるのならば、豊富なアフターパーツが存在するロードスターですから、ユーザー自身の手に委ねる英断をしました。


ただし、広告には架装車に採用できなかった「アフターパーツも販売」と記載されています(実車のソースは残っていませんでした)。そこには「TSコンセプト」のリアイメージと同じイラストが描かれています。

2005 「ROADSTER COUPE CIRCUIT TRAIAL」コンセプト


翌年の東京オートサロンでは市販化された「mm1(NB6)」1号車をベースに、デザイナーの福田成徳氏により更なるカフェレーサー・アレンジが発表されました。さりげないフェンダーとヘッドライト回りのホワイト処理が素敵です。


Abarth Simca ルマンカラー
なお、デザインソースはこちらなのかと思われます。


さて、この「mm1」の予定販売は100台だったのが、マツダの工場火災で生産不可能になり30台のみの限定販売になりました。しかし、それでも販売状況は芳しくありませんでした。

NBロードスター自体がモデル末期であったことの不人気と、近しい価格帯で最新のロータリーエンジン・スポーツカー「RX-8」が購入できたこと、そして第三世代NC型「ロードスター」が発表されたという状況があったからです。

したがって「mm1」は市場在庫としてしばらく残る結果になりました。しかし現在は、その価値に気づいた方の手に渡ったことで、市場に出ることはほぼありません。

ESQUELETO BRISA(エスケレート・ブリサ)


一方で2020年現在、NBロードスターのアフターパーツとして「mm1」ルックを手に入れることが可能になっています。

エスケレート・ブランドで有名なファトラスタイリング社より「ESQUELETO BRISA(エスケレート・ブリサ)」というボディキットとして購入が可能なのです。同社は「mm1」のパーツ開発に協力していたことがホームページに記載されており、その魂を引き継いでいます。


ここではフェイスリフトに注目が行きがちですが、注目はテールライトまわりです。


「mm1」市販化で断念された二灯式のテールライトが、LED仕様にアップデートして復活しているのです。※補足ですがエスケレート・ブランドではNCベースの「mh1」のボディパーツも購入可能です。

全国29台のクーペボディ


ロードスターベースのクーペボディはNA時代からの悲願で、その系譜は第三世代NC型「RHT」タイプ(海外名 MX-5 Coupe)、第四世代ND型の「ロードスターRF」まで引き継がれてました。おそらく次世代のNE型にも派生車種として登場するでしょう。

そのうえで、そのクーペボディを贅沢にカスタマイズした「mm1」。


時代の潮流に乗ったとはいえ単なるワンオフモデルで終わるのではなく、市販化を実現した情熱には頭が下がります。希少車であるとともにアガリの一台(人生最後のクルマ)になりうる、国産車最後のコンパクトFRクーペではないでしょうか。

見かけたら拝まずにはいられない、そんな「mm1」のご紹介でした。

関連情報:

国産最後の5ナンバーFR ロードスタークーペ(Coupe2)

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