NBロードスター ガーネットレッドの魅力

NBロードスター ガーネットレッドの魅力

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ガーネットとは鉱石由来の名前で、深く赤い「柘榴(ざくろ)石」は、磨くとカーバンクルという宝石になります。NBロードスターの美しいガーネットレッドマイカを単にワインレッドとしなかったところに、デザイナーさんのセンスを感じます!

ボディカラーは一期一会

自動車趣味の三大要素といえば「走る、触る、見る」とされますが、趣味性の高いスポーツカーであれば、これらはよりこだわりたいポイントです。特に「見る」にも関連する【ボディカラー】は新車でも中古車でも、購入前に愛車にそそぐ楽しい悩みの瞬間だと思います。

私自身、NBロードスターを再び購入する際にはボディカラーでかなり悩みました(※NBは2台目の購入になります)。とはいえ、新車が存在しないNBロードスターにおいて、好みの色と出会うのは一期一会・・・まさにタイミングです。


私が中古のNBロードスターを探していた際は、「MT(マニュアルトランスミッション)」と「ボディカラー」という決め打ちの条件で探していました。マストで探したのは、以前乗っていたNB3の「スプラッシュグリーンマイカ」だったのですが、残念ながらその時は巡り会えませんでした。


その上で、カーショップへ検討・交渉を行っていたのはNB1の「エボリューションオレンジマイカ」、NB2の「クリスタルブルーメタリック」「スターリーブルーマイカ」、NB4の「チタニウムグレーメタリックⅡ」でした。


しかし、ある日運命の出会いががおこります。先の「スプラッシュグリーンマイカ」と兄弟色であり、NB3ロードスターのテーマカラーでもある「ガーネットレッドマイカ(25F)」に一目ぼれし、試乗もせずネット経由で購入、我が家にお迎えしました。

ガーネットレッドマイカとは


マツダ車のボディカラー、ペイントコード【25F】のガーネットレッドマイカ。

この世に数多ある「色」において、ガーネットレッドはいわばマルーン系(ワインレッド)の色味になります。しかし、マツダのデザイナーはベリーカラー(果実色)の通称ワインレッドではなく、鉱物系の「ガーネット」という名称を付けました。


ロードスターとしても、久々のカタログカラーとして追加された「赤」であるガーネットレッドマイカは、名前の通りマイカ(雲母フレーバー入り)塗装です。キラキラする塗料はボディリフレクション(陰影)が強調され、NBロードスターのグラマラスなボディを際立たせます。


なお、ガーネットの語源は柘榴石(ざくろいし)という鉱物ですが、赤のガーネットを磨き上げると、ルビーと双璧をなす「カーバンクル」という赤い宝石として取り扱われます。つまりガーネットレッドは、シックな宝石をイメージしたカラーなのです。


なお、当時の赤系ロードスター・カタログカラーとして用意されたのは「クラシックレッド」のみ。限定色としてVRリミテッド(NA)やNRリミテッド(NB)で「アールヴァンレッドマイカ」が用意されましたが、この「アールヴァン」も山珊瑚が採掘されるトルコの地名にちなむ、鉱物系のネーミングでした。

マツダの「ガーネットレッド」は2車種のみ


日本では283台と、国内のNBロードスターでは0.9%しか存在しないガーネットレッドマイカですが、海外でも普通にカタログカラー(もしくは年次モデル)として販売されていたので、ロードスターとしてはもう少し流通(現存)しているようです。


しかし、ボディカラーを他マツダ車と共用するロードスターにおいて、ガーネットレッド自体は「ファミリアセダン(海外名Mazda323/Protage)」にしか採用されず、結果的に非常にマイナーなボディカラーになってしまいました。


ファミリアセダン自体が超マイナーだったことに加え、「ガーネットレッドマイカ」自体もマツダ2003年モデルにしか塗られなかったこともあり、下手な限定車よりも目にする機会は少ないかも知れません。

そんなガーネットレッドの特徴として、深い赤の色味は天候により表情を変えるところが面白く、特に晴天では「青」が深く反射するというものがあります。キャラクターラインを用いずにリフレクションやフォルムでデザインを魅せるNBロードスターですが、その手法は今の魂動デザインに繋がるものがあります。



したがって、早朝、日中、夜間と定点観測をするだけでも、ガーネットレッドはドラマチックに表情が変わります。


見せ場の多いガーネットレッドですが、スポットが当たっても妖艶な色合いも変わります。したがって、夜の駐車はスポットライトの下に置く癖が付いてしまいました。

日本車の「ガーネットレッド」シリーズ

ガーネットは宝石であるという言葉の背景もさることながら、語呂の響きがいいということもあり、メーカー各社でも同じネーミングの色名が採用されています。ただ、色味ニュアンスの微妙な違いが面白いところです。


ダイハツ・ガーネットレッドマイカ(R22)
軽自動車のオプティクラシックなどでみかけたボディカラーです。かつては軽自動車の主流であったハッチバックも、トールワゴン系の隆盛で今や見かけなくなってしまいました。メッキで加飾したクラシカルなフェイスと、深い赤の色合いはまさに宝石です。


スバル・ガーネットーレッドパール(33J)
インプレッサ―スポーツワゴンやフォレスター(SG)、超巨大になる前のレガシィ(BP/BL)などで採用されていたカタログカラーです。赤いスバル車自体珍しいこともあり、当時は不人気色扱いでした。しかし、一周回ってなかなかいい色味です。垢抜ける前のスバル車って、別の意味で味があります。


トヨタ・ガーネットレッドマイカ(3S0)
レクサスのLCやRXで一時期採用されていたボディカラーです。同じ色名とはいえ流石高級車、写真で見ても「色の深さ」が違います!


ニッサン・ガーネットレッド(NBF)
ノートやエクストレイルなど、近年のマイナーチェンジでラインナップされたテーマカラーである「ガーネットレッド」です。同じ色名でも解釈の違いで明るめの色味になっています。


その他、旧ボルボなどの外国車にも「ガーネットレッド」は設定されていました。また、PCやゲーム機、携帯電話でも「ガーネットレッド」が採用されています。

マルーン系のカラーイメージ


面白いもので、人間は「色」によりイメージを連想します。純色の「赤」よりも明度を抑えたマルーン系カラー「ガーネットレッド」は、そういう意味では赤に加えて「茶色」「紫」といったイメージを連想させてくれるいいとこ取りの色になります。

赤のイメージ効果:勇気、愛情、勝利、積極的
紫のイメージ効果:神秘、高貴、優雅、感性
茶のイメージ効果:温和、安定、伝統、堅実

たかがボディカラー、されどボディカラー。今回は愛車を愛でる内容でした。もし、ご自身のボディカラーを紹介してほしい方がいればご連絡ください!

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