NBロードスターのデフォルメカー作成(ネコワークス)

NBロードスターのデフォルメカー作成(ネコワークス)

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軽井沢ミーティングに参加したことがある方であれば、デフォルメされた「たまごロードスター」たちの展示を見たことはありませんか?こちら、オーナーのモデファイ通りに精巧に作り込まれた手のひらサイズのロードスターで、圧巻的な完成度に見入る方が多いと思います。

こちらの制作委託サービスは本当に凄い人気で、バックオーダーがありすぎてフィニッシャーをされているモモ公房さんは新規受付を止めているそうです(※2023年時点)。ただ、ベースキットは頑張れば手に入る模様で・・・だったら自分で作ることにチャレンジしてみます。

ネコワークスの「NBロードスター」


このディフォルメカーは「ロードスター限定」ではなく、様々なクルマを手のひらサイズで再現しているモデルカーシリーズです。造形活動を行っているディーラー【ネコワークス】さんが30年以上作成されている歴史あるキットで、今でも造形イベント等で購入することが可能です。詳しい情報はネコワークス井上さんのSNSをチェックをお勧めします。


私はガレージキットの雄・海洋堂が主催する「ワンダーフェスティバル」にて、ネコワークスさんのブースへお邪魔してきました。そこでディスプレーされているクルマは愛溢れるものばかりで、特徴を的確にとらえた造形は圧巻でした。造形師の井上さんにもご挨拶することができて嬉しかった!


ちなみに人気のキットはあっという間になくなってしまい、在庫復活は気分次第だそうです。実際、イベントの終盤には在庫が大幅に減っていました。そりゃそうですよね・・・


会場で「NBロードスター」が残っているか心配しましたが、ありがたいことに「2台」お迎えすることができました。ただ、他のロードスターは売り切れだったので「AZ-1」と「ランチアラリー037」を購入。密かに狙っていたランチアストラトスが売り切れだったのはショボーンです。

ディフォルメキットの下準備


そんなわけでお迎えしたNBロードスター。キットはレジンキャストで複製されたものなので、プラスチックインジェクションキット(プラモデル)よりも少々手間がかかります。ただ、基本工作は一緒だし、それを楽しむのがガレージキット(※)ってなもんです。

※ガレージキット:既製のプラスチックモデルに飽きたらず、自身の造形的ニーズやクオリティにこだわるマニアたちが、自分自身で造りあげた原型をもとに型取りし、レジンキャストで生産する手作りの模型


キットはワンブロックの構成ですが、フォルムだけでNBロードスターとわかる素晴らしいもの。素のペールオレンジのボディにスミ入れだけして飾ってもいいくらいです。


ただし、量産時の型抜きの都合でパーティングライン(段差)や湯口が残っているので、面を整えていく必要があります。そうはいっても特別な道具は必要なく、基本的にはプラモデル用のニッパーやヤスリで対処可能です。タガネなどの彫りものがあればより便利です。


そこで削ったり、彫ったりとあーだこーだ試行錯誤しながら表面処理を行っていきました。


また、重要なのが型抜き時に表面に残っている離型剤を落とすこと。専用の洗浄剤も販売されていますが、私は昔ながらのクレンザーと中性洗剤を使って歯ブラシでガシガシ洗っていきました。離型剤が残っているとキットが撥水してしまうのですが、しっとり艶消しな表面(手触り)になればオッケーです。


作業性を高めるためにボディ底面に3mmの穴をあけて、ガンプラを作る方であれば余るほどあるランナーをぶっ刺して持ち手にしました。


また、完成度を高めるためにはヤスリがけなどで消してしまったモールドや、抜きの絡みでどうしても発生する「気泡」も消していく必要があります。ラッカーパテ(溶きパテ)を盛っては表面をなだらかに・・・なんて作業を繰り返していきます。そうそう、2台同時並行で作成しています。前期、後期と並べたいんです!


我が家には乾燥ブースなんてないので、晩盛っては翌日削って・・・と、はやる気持ちを抑えながら少しづつ作業を進めていきました。もちろん時短方法はいっぱいあるのですが、自分のために作るキットですから手間を楽しむ方が楽しいんですよね!NBロードスターの特徴となるリアフェンダーのフレアは削りすぎてしまったのでパテで復活させています。


グレーのサフェーサーで問題ないことを確認したのち・・・黒のサフェーサーを吹いて下地処理の完了です。なお、後期型をイメージするキットはフォグランプのディティールを彫り込んでいます。ファイブポイントグリルにするかは迷ったのですが・・・ディフォルメされた表情を観察して、あえてオミットしました。

塗装第一段階、エクステリア


黒サフが乾燥したことを確認したのち、マスキング作業に入っていきます。

ウインドー周りはマスキングテープでいけましたが、足周りやインテリアをテープでマスクするのは現実的でなく、100円ショップで購入したブルタック(引っ付き虫)で隠していきます。このマテリアル、練り消しよりもキットにベタベタ残らないので、個人的にお気に入りです。


ちなみに私、エアブラシも塗装ブースも持っていないので、基本的に缶スプレーを玄関先で吹いています。

今回チョイスしたのはクレオスの「ゴールド(9)」とタミヤの「マイカレッド(TS-39)」。金色は黒立ち上げが映えるのと、マイカレッドもあえて黒立ち上げで調整して、NBロードスター後期のガーネットレッド(ワインレッド)に近づける魂胆です。また、黒いサフェーサーは質感もいいので、黒部分のパーツは無塗装で行く作戦です。


色合いは一発で決まらないので、ふわっと一周吹いてから20分待って・・・なんて、4回ほどでいい感じになってくれました。あとは、はやる気持ちを抑えて数日乾燥させます。


ボディカラーが乾燥したのち、艶を合わせるためにウインドー周りのマスキングを外します。さらに、スミ入れと銀色部分(ライト類、エンブレム、マフラー、マーカー、ラジオアンテナ、リアデッキの金具など)の描き込みを行いました。スミ入れは直前まで迷ったのですが、くっきりしている方が可愛く見えるという判断です。これらの塗装が乾いたら、一旦クリアのトップコートを吹いて「今の状態」をセーブしておきます。


クリアコートが乾燥したら、テールランプなどのエクステリアまわりに色を乗せていきます。NBロードスターは前期と後期でテールのデザインが違うので、面相筆塗装の腕の見せ所です。もちろんはみ出た塗料などもリタッチで修正です。もろもろ終わったら、もう一度クリアコートを重ねて全体を均一に慣らしておきます。

これでエクステリアは一旦完了!

塗装の第二段階、インテリア


エクステリアのクリアコートが乾いたら全体のマスキングを外していきます。思ったよりもひどいはみ出しがなかったのは一安心!ブルタックが残ってしまった場合はエナメル溶液を付けた綿棒で撫でれば奇麗に取れてくれます。(ラッカー溶液を使ったら下地が溶けてしまうので注意)


さらに全神経を集中し、2台8輪のアルミホイールに色を乗せていきます・・・気づいたら1時間以上かかっていました。ちなみに私は伸びやかなエナメル塗料と100円ショップのネイル用筆を好んで使っています。


赤のロードスターは後期型の「VS内装」を再現するためインテリアは別途塗装を行います。ダッシュボードは下地の黒サフを活かすとして、ソフトトップカバーからインテリア内部をブルタックとマスキングテープで塞いでいきます。この後の地獄(失敗)を知らずに・・・


一旦白いサフェーサーで下地を作った後に、タン色のスプレーを塗布・・・ですが、缶スプレーが経年劣化でガスが少なくなっており、ダマっぽい塗装になってしまいました。


超絶嫌な予感がしたのでマスキングを外すと・・・やってしまいました!マスキングテープの糊が強くてボディの塗料の一部を剥がしてしまったことと、ソフトトップカバー部分は下地部分がめくれてしまいました。テンション下がる・・・


大丈夫、まだ試合終了ではありません。色合いが安定している缶スプレー塗装のメリットを活かして、スプレー塗料を筆に乗せてリタッチしていきました。下地が剥がれてしまった部分は溶きパテで面を整えていきます。なお、マスキングテープは100円ショップのものだったのですが、こちらは繊細な作業には向かないようです・・・模型用の低粘度タイプを別途購入しておきました。


一気にフィニッシュするとまた事故が行きますので、インテリアを大雑把に描きこんで、クリア塗料で状況をセーブ。


その後にウッドパーツ(ステアリング、センターコンソール回り)を描き込みます。リペアしたソフトトップカバー周り(溶きパテ)は600番から1000番のヤスリで慣らし、さらにスプレー塗料を筆でタッチアップしていきます。


また、ホイール周りにはスミ入れを行って境界線をはっきりさせておき、あえてクリアコートで全体を艶々に仕上げました。

最終工程 艶の調整とディスプレイ


このままだとクルマ全体が艶々で変な感じです。そこで登場するのが、ガンプラを作る人であれば持っていると思われる「パーマネントマットバーニッシュ」。この塗料、ロボット関節パーツの渋みを調節するのではなく、本来は艶消しコーティングをするための水性塗料です。


そこで、筆を使ってタイヤとインテリア周りに塗布すると、みるみる艶消しの質感に変わっていきます。グロス下地ではコートを弾いてしまいますが、3度塗りほどでいい感じのマットな塗面になっていきました。


本来のカーモデルであれば、ここから高い番手(1500番〜)のヤスリで表面を慣らしたあとにコンパウンドで磨き込む「研ぎ出し」という作業があるのですが、塗面が完全にカチカチに乾くのを待つために1ヶ月以上置こうと思います。なので、本体の作業は一旦終了です!


折角なのでディスプレーのためにキット背面に100円ショップのネオジム磁石を差し込みました。ちなみに磁石単体でも販売されていますが、事務用のボタンタイプに入ってるものが使いやすい大きさなので、分解して取り出しています。


これでコレクションケースに穴を開けずに磁石固定できるようになりました。ちなみにケースにはカーボン柄のカッティングシートを貼り付けています。磁石もケースもドリル歯も100円ショップで購入・・・便利な時代になりましたね。

NBロードスター ディフォルメカーの完成


そんなわけで、日差しのなかで撮影。金色はNB1の「エボリューションオレンジマイカ」をイメージしたものです。現行車ではなかなか見ないボディカラーになりましたね。写真だと黒い部分の艶の違いが分かりやすいですね。


赤い方はNB後期型(NB3)のワインレッド「ガーネットレッドマイカ」のVSグレードをイメージしたもの。バンパーのフォグ穴を空けただけでもそれっぽく見れるでしょ?上の写真と比較すると分かりやすいと思いますが、テールランプのグラフィックは前期・後期で描き分けています。


NBロードスターのオーガニックシェイプが再現されている素晴らしい造形ですね!


あらためて大きさは手のひらサイズです。自分の愛車と比べると喜びもひとしおです!この手のひらに行き着くまでにどれだけの人が「NBロードスター」に関わったんだろうと思うと、感慨深いものもあります。

今回はワンパーツの塊を塗り分ける作業に試行錯誤しましたが・・・逆に私はそれしかしていません。そんな塗装の出来は素人レベルですが、その分愛情はいっぱい注ぎました。やっぱり手を動かすのは楽しいですね!

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