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対向車のライトが眩しい
ロードスターオーナーといいますか、車高の低いスポーツカーにおいて「あるある」ネタになるのが、対向車や後続車のヘッドライトのまぶしさ。少し前の時代では笑い話になっていましたが、ここ最近は笑えないレベルの危険なビーム(灯り)が放たれている気がします。
近年の自動車は目線(ヘッドライト位置)が高いSUVやミニバンが主流だからなのかと思いきや、相手のクルマを確認すると軽自動車だったりするので侮れません。ダイ○ツのクルマだったので例のレギュレーション違反騒動の影響か?なんて勝手に思ったりしていました(←これは誤解でした)。
また、ヘッドライトどころかテールランプのブレーキ灯ですら眩暈(めまい)を感じることさえあります(特にCXなんとかシリーズ)。道交法に抵触するバックフォグ点灯は論外ですが・・・
こちら、よくいわれるのがヘッドライトなどのバルブ(電球)が、かつての「ハロゲン」から「LED」に置き換わったからとされていますが、よく確認するとどうも自分自身がポンコツになっている可能性があるようです・・・
LEDのメリット・デメリット
かつてはヘッドライトのシールドビーム規制(~1984年)なんてものもあり、性能とカッコいいデザインを両立するためにリトラクタブルヘッドライトが普及した時代がありましたが、80年代の後半にはヘッドライトデザインに莫大な自由度を与えたハロゲンランプが普及し、既に40年経ちました。
その後にもランプユニットは進化を続け、00年代のHID(ディスチャージャーヘッドランプ)がありましたが、07年に登場したLEDライトは新たなトレンドを生んでいます。それはハロゲンランプとLEDで端子規格に互換性があったことでした。
ポン付けできる容易さはアフターパーツ市場で大ウケし、ここ10年で定番のレトロフィット・モデファイとして爆発的に普及していったのです。
消費電力 | 発熱量 | 寿命 | 色温度(K) | |
ハロゲン | 約60W | 約300度 | 600時間 | 約3,000K |
LED | 約20W~45W | 約100度 | 30,000時間 | 約5,500K |
HID | 約35W~55W | 約350度 | 2,000時間 | 約6,000K |
※当サイトざっくり調べ(2024年時点)
基本性能の高さに加え量産効果によるコスト減により、そのメリットは一目瞭然。新型車への採用は2022年段階で70%以上、消費電力をなるべく抑えたい電気自動車に至っては装着率92%に達しているそうです。また、2015年9月以降の生産車における保安基準では、ロービームで「色味」も審査されるようになりました。
つまり新車ではライトが白色ではないと車検が通過できなくなっています。つまり、ヘッドライトビームが黄色いバルブのものは、一発で旧車であることが一発で分かります!
ただしLEDにもデメリットはあります。
メーカー純正採用のランプユニットは信頼性対策をおこなっているのでその限りではありませんが、アフターパーツにおいては融雪機能(雪を解かす)の低さや、耐久性に難があるもの、光量不足、光軸が不安定なものも少なくありません。
また、もしもライトが切れてしまったらハロゲンバルブのようにホームセンターで汎用品が売っているわけではなく、純正LEDパーツは基本的にユニットごとごっそり交換となります。
ロードスターでいうとND型がLEDライトを採用していますが、ユニットの片側で20万円以上。事故には気を付けましょう・・・
余談ですが、NBロードスター後期型のヘッドランプは当時価格で片側22,300円(税別)、2024年4月時点で46,900円(税別)・・・当時から2倍以上の価格になっていますが、パーツが出るだけ全然ありがたいですね。
なぜLEDライトが眩しと感じるのか
LEDがなぜ眩しいのか?となると、理由は単純です。前提として、光が「眩しい」と感じるのは、目に入り込んでくる光の量が昼夜問わず想定以上(経験以上)に多い時に起こります。
かつてのハロゲンバルブは光が拡散する特性があり、リフレクター(反射板)を用いて前方へ光を収束させていました。一方、LEDは素子(半導体)に電気を流すエレクトロルミネッセンス発光であり、光には強力な指向性があります。つまり真っすぐ光を放射する特徴があるのです。
したがって、メーカー純正のLEDヘッドライトは必要のないところ(対向車や歩行者)に対して光を放射しないようリアルタイム調整を行っています。
しかし、全てのクルマがそうではないようで、コスト管理が厳しいクルマでは最低限の採用になります。また、車検対応のアフターパーツであっても、光軸が調整されていないものもあるでしょう。
したがって、懐中電灯の灯りを真っすぐ向けられたような、そんな「まっすぐ」な光が対向車や後続車から目線に向けられ「眩しい!」となっているのです。
実は老眼の影響も
よって、クルマのライトが眩しくなったのは「LED時代が到来したから」と結論づけたいところですが、どうもそれだけではないようです。なんと、自分自身の老化により、より眩しく感じるようになっているとの事で・・・
その分水嶺は「老視(ろうし)」・・・すなわち「老眼」の始まりになります。一般には40歳前後とされていますが、早い人では30歳代半ば、遅い人でも50歳代から60歳あたりまで自覚症状を感じるアレです。
そういえば「ヘッドライトが眩しい」と訴えるのは中年世代・・・若者からその言葉を聞く機会は少ない気がしますね。
今更ですが、老視(老眼)の主な症状は細かい文字や小物などの細部がぼやけたりチラついてきます(スマホの画面が昔より見えなくなっていませんか?)。また、遠方を見ようとしてもピントが直ぐに合わなかったり、暗くなると遠くが見えなくなったり・・・と、日常生活にも影響が出てきます。
これは、加齢により眼のなかの「水晶体」に濁りが生じ、眼内の光が拡散するからだそうで・・・さらに、一日中PCのモニターを眺めているような仕事ならばドライアイも併発します。眼の表面の乾きは細かい傷に繋がり、光がよりチカチカ散乱しやすくなるのです。
さらに、愛車のミラーが曇っている(汚い)と、物理的な光の拡散も発生します。つまり、モダナイズされた技術のせいだけではなく、自身の老化によるものや愛車のメンテ不足による掛け算により、対向車や後続車のライトがより眩しく感じていたようなのです。
ただ、ヘッドライトの明るさはロービーム1灯につき6,400カンデラ以上という保安基準になっていますが、現時点で「上限の明るさ」は決められていないようです。したがって「LEDライトが眩しい」という事象は世界的な問題になっており、新たなレギュレーションが検討がされているという報道もあるので眩しいこと自体は事実でしょう。
なお、夜になると見にくくなったり視界がかすんでいる場合は、老化でじわじわ進行する白内障の可能性もあります。早めに病院に行くことをお勧めします。また、ドライアイ対策も含めて日中よりビタミンを含んだものや、乾燥を防止する目薬を刺すことで、夜間の眩しさや疲れ目が改善するともされています。とりあえず、そこからですね。
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