ロードスターの梅雨対策

ロードスターの梅雨対策

この記事を読むのに必要な時間は約11分です。

高温多湿の日本では、5月末から7月にかけて雨季・・・つまり、曇りや雨の天候が続く「梅雨」に入ります。最近は夏が早まって日中はとんでもない暑さになったり、大きな天候崩れがあったりもしますけどね・・・ともあれ、オープンカーであるロードスターにとって、屋根が開けづらくなる寂しいシーズンでもあります。

また、(私事ですが)「世界一の手動幌」を持つとはいえ、我が家はガレージではなく青空駐車。さらに、仕事の関係で週末しかロードスターに乗れませんので、雨が降り続ければ放置されるクルマにそれなりの負担がかかっています。

そこで、梅雨シーズンに備えて私が行なっているメンテナンスをいくつかご紹介します。

湿気対策を行う


エアコン動作確認
梅雨は高温多湿な環境になるので窓ガラスが曇りがち。外気とキャビンの寒暖差を無くそうにも、雨が降っていたら窓を開けることもできません。したがって、エアコンのデフロスターやリアガラスのデフォッガー機能(ハードトップ/NBガラス幌以降)を使うことになるのですが・・・いざって時に動かないとストレスになります。

そこで、可能であれば梅雨入り前から「エアコン」の動作確認をお勧めします。どちらにせよ機能をしないと梅雨明けにはオープンカー泣かせの灼熱地獄(夏)が待っているので、涼しい風が出るか確認をしておいた方が安心です。

そこでエアコンユニットが壊れていたら大変ですが、そもそもエアコンガスは7~8年で抜けるので(2~3年で冷えないとどこからか漏れている可能性もある)、エアコンガス充填を検討したほうがいいかも知れません。個人的にコスパ抜群だったのが、カーショップで行ってくれる「エアコンガス・リフレッシュメニュー」でした。

これはエアコンのガス充填とともに、ラインの洗浄も兼ねたメニューですが、失礼ながらロードスターとは思えないくらい冷えるようになりました。なお、近年はヒーターラインの加工を行うモデファイもありますが、王道のメンテであっても十分にエアコンは機能することを実感できます。


除湿剤を配置する
地味に効果がある対策は、車内に「除湿剤」もしくは「新聞紙」を配置することです。見える場所にあると貧乏くさくなりますので、シート裏あたりに配置するといいでしょう。

 
シーズン途中にチェックをしてみると・・・結構な量の水が溜まっていることがわかります。

雨漏り対策をおこなう


オープンカーにとって一番厄介でストレスのたまるキャビンへの浸水でしょう。

雨漏の要因となる筆頭は「Aピラー頂点」、さらに窓ガラスが当たるモール周辺が怪しいです。屋根のないオープンカーはボディ開口部とその頂点は経年劣化でどうしても歪んでくるし、ゴムシールも痩せていくからです。

まずは【日常的にできる対策】として幌にストレスをかけないことが重要です。NA/NBロードスターはロックを外したら幌を片手でバーンと空けて、ガバッと閉じることができる大きな利点がありますが、特に「閉じる時」は左右一緒に(両手を使って)トップロックを閉めることをお勧めします。

片側ずつ行うと、特にピラーの頂点は左右の歪みでどうしても微妙なずれが生じます。面倒がらずに車内に座りなが「儀式」(と思って)ロックを行いましょう。なお、NC以降のロードスターは中央一ヵ所にロック機構が備わっていますので、このあたりよく考えられていますよね・・・凄い。

また、意外と忘れがちなのはキャビン後方(Cピラーにあたる部分の根本)にある「水抜き穴」。雨は幌の端に繋がっているレインレール(キャビン内に隠されています)を沿って外に排出される構造です。そこで水抜き穴が詰まるとシート裏に水たまりができます。

NCロードスター以降はドレンボルト部分がカートリッジになっているので掃除しやすいですが、NA/NBロードスターは太い針金等で突いて水抜き穴のお通じを良くしておくこと、お勧めします。こんなところ詰まる訳ないと思いきや、オープン走行をすると落ち葉とか虫(!)とか、それこそ雨水に含まれていた泥などが堆積していくんですね。

なお、内装が濡れたままだとカビが発生します。オーガニックカラーで汚れたカーペットは精神的にもダメージが大きいので(経験済)、見つけたらカビキラーを行いましょう。オープンカーのメリットとしてキャビンを乾かすのは比較的楽ですが、梅雨の時期は天日干しのタイミングが合わないのが歯がゆいところです。

参考リンク:NA/NBロードスター 雨漏り対策
https://mx-5nb.com/2020/04/01/rain-leak-prevention/


また、トランクルームが浸水することもあります。

その原因は、ハードトップのデッキプレート(取付け部分の金具)下にある「パッキン」や「パネル接合部」のシール劣化、もしくはトランクまわりのウェザーストリップが劣化することで起こります。さらに、私のロードスターはナンバープレート裏の水路にあたるパネルに隙間があり、そこから思いっきり浸水してトランクに水たまりができていました。

特にNBロードスターはスペアタイヤ部分が陥没しているのでそこに水が溜まり、スチール製のスペアタイヤが錆びてしまいます。怪しいと思ったら、シーラントやブチルテープで対策をしておきましょう。

参考リンク:NBロードスター トランクの雨漏り対策
https://mx-5nb.com/2021/06/14/leakage-in-the-trunk/

駐車時に想定外の雨!いざという時は


駐車時にボディカバーを装着していたり、もしくはハードトップに換装していれば雨漏りに対する安心感は格段に上がりますが、この季節はいきなり天候が崩れて滝のような雨が長く続くこともあります。雨のなか濡れたボディにカバーを付けるのは不毛な行為ですし、ハードトップの取付けは危険です。

また、幌の雨漏り対策は万全と思っていても、暴力的な降雨がキャパシティを超えてくる可能性もあり、放置しているのは心配なことはありませんか?

そこでまず、前提としてはなるべく水平な場所に駐車することがポイントです。坂道などのスロープや、片輪を路側帯に上げて駐車をしていれば、クルマに隙間が生じやすいので水が浸入してきます。


そういった事態を考慮して、緊急的に使えるのが「雑巾」です。カッコ悪いかも知れませんが、一番水が浸入する可能性があるAピラーに「雑巾」を置いておくだけで安心感は格段に向上します。

さらに、(可能であれば)Aピラー直下、シートの前端やサイドシルとの隙間に吸水性のある雑巾を置いておくと、万が一の際にもリカバリーが効きやすくなります。ただし、大雨のなかでドアを開閉をすると、幌のモールが劣化しているとそのまま水が染みてキャビンに入ってくることもあるので、ケースバイケースで対応しましょう。

なお、Aピラー近辺ににメンディングテープを貼って試してみましたが、効果はあれど糊(のり)が残ってしまって、幌やボディが汚れるので微妙でした。

雑巾自体は100円ショップでも置いてあるし、ピンポイントでいい感じに水を吸って守ってくれるので、私はロードスターに常備しています。カッコ悪いかも知れませんけれど、緊急時にはコスパの良い対策といえるでしょう。

ただし、注意点もあります。ビニール幌であればあまり影響はありませんが、クロス幌(特に明るい色)の場合は雨が落ち着いたらすぐに雑巾を外しましょう。長時間放置していると雑巾の持つ湿気により「黒カビ」が発生する要因になるからです。


【注意!】
安価なボディカバーは要注意です。ここ最近の天候急変は湿気がある状態から、晴天による急激な温度上昇などハードな出来事も起きます。メーカー名は記載しませんが、安いボディカバーは湿気が上手く抜けず、ボディのクリア層を侵して塗装が白化します(経験談)。

当該ボディカバーのパッケージには「雨上がりにはカバーを外し、ボディを乾燥させましょう」と小さい注意書きがありましたが、そもそも平日はカバーをかける前提だと安心して使用できません。こればかりは安心、安全なブランド物を使用することをお勧めします。

シーズン明けの儀式


クラッチレリーズシリンダー(猫クラッチ対策)

そもそも、質のいいグリスを塗布しておけばリスク回避されますが、梅雨明けには「猫クラッチ」がロードスターに発生することがあります。します。クラッチを踏んだ時に「にゃー」と猫の声のような異音がするもので、原因はクラッチレリーズシリンダーのグリス切れです。新品パーツの購入でも対応できますが、DIYでも整備可能なので、チャレンジされることをオススメします。

余談ですが、私は新車購入したNBロードスターでもこの現象が発生しました。そういえば、レリーズシリンダーを新品交換したら、パッタリ起こらなくなったな・・・

参考リンク:ロードスター「猫クラッチ」対策
https://mx-5nb.com/2020/04/15/mx5-cat-clutch/


ブレーキの固着
これはブレーキパッドの相性や走り方によるものですが、雨上がりにはブレーキディスクが鉄粉で固着していることがあります。走りだす時に「パキン」とサビ割れ音があることも。

基本的にはクルマを始動した後、迷惑にならない場所でブレーキを複数回踏むと鉄粉が除去されるはず。最初は低速でも「キーッ」とスキール音がするので心配になりますが、音がなくなるまで錆を削っていきましょう。ブレーキダストが固着したままだと異音やABS誤作動の原因にもなります。違和感があるときはホイール内をチェックしましょう。


フェルリッドワイヤーの固着

たまにフェルリッドワイヤーの頂点が固着することがあります。給油時にリッドが開かないと本当に困りますので、挙動が怪しければ矢印の部分を押して固着をなくしたり、シリコングリス等を塗布しておきましょう。


電装品の固着に注意

湿気が高いと電装系パーツに錆が発生していることがあります。私の愛車はヒューズが固着して取り外すだけでも一苦労でした。また、ロードスターはコストダウン・・・いや、軽量化のために予備ヒューズが用意されていない場合もありますので、いざという時は相当困ります。


予備をアクセスハッチの裏あたりに貼り付けておくだけでも安心です。チップチューンまではいかなくとも、電装品が元気であることは安心に繋がります。不調だな?とおもったら、ヒューズボックスを確認してみましょう。

参考:ロードスターのヒューズ交換
https://mx-5nb.com/2021/10/11/fuse-replacement/

クルマにカビが発生するなんて、さすがロードスター・・・湿気対策も楽しいですが、オープンで走れる季節が待ち遠しいですね。

関連情報→

「オイル漏れ」ポイントをいくつか

特集まとめカテゴリの最新記事