わび・さびの継承 NBインテリア(市販車編)

わび・さびの継承 NBインテリア(市販車編)

この記事を読むのに必要な時間は約7分です。

今回は実際に市販されたNBロードスターのインテリアを解説します。

「わび・さびの継承」をテーマに、NAロードスターの進化系として造りこまれたのがNBロードスターの内装です。

基本構成は「T字」「インパネからドアへ続く形状」「丸型ルーバー」という三つの軸をもとに、インパネからボンネットに向かって一体感のある造形になっており「内と外の境界をなくす、オープンカーであることの演出」を意図しています。

なおこの解説に近しい言葉は、NDロードスターのデビュー時にインテリア解説にも、同じ表現が使われていますね・・・

全体を俯瞰して


<NB1 VS>
単に質感を上げると「高級感(=重厚感)」に繋がってしまいがちですが、それはロードスターのキャラクターには合いません。そこでセンターからコンソールにキュっと流れるボリュームで適度なタイト感を出しながら、初代ロードスターより受け継ぐ「丸型のルーバー」でフレンドリーな雰囲気をかもしだします。


<NB2 RS2>
クラシカルに盛り上がるルーバーはそのままの配置だと左右対称に見えず、造形にかなりのチューニングが施されています。つまり、左右対称ではないということで・・・単純な配置のようで違和感なく表現しているのは、流石プロの仕事だと思います。なお、NDロードスターではルーバーが左右対称であることを唄っています。

また、センターコンソールのスイッチはアクティブセーフティ(性能として安全性を保つ)のために配置され、押しやすさと共に(当時)普及を始めていたカーナビ(2DIN)の対応も視野にいれています。ちなみに1DINの際はサングラス収納スペースをイメージしているとのこと。

使い勝手という点ではパワーウインドーのスイッチも(NAロードスターの後方位置から)コンソール前方に移設されました。肘を引いて窓を開けるNAの所作もカッコいいですが、NBの使い勝手はこれで格段に向上しています。

各所ディティールをチェックする


<NB1 VS>
内装の基本色はブラックですが、単純な樹脂だと黒光りしてしまうので初代よりも明るめにしてあり、シボもいれて質感を高めています。また、VSのタンカラーはNA時代の濃いブラウンではなく、スタイリングとのマッチを考慮した上で、(明るい)タンカラーにこだわりました。これはVSのソフトトップ(幌)も同様です。ちなみに、新車解説では淡いベージュのタンカラーと表現されています(ややこしい)。

インパネからボンネットへの「一体感」表現はVS内装が一番わかりやすいです。サイドパネルのツィーター部分がブラックアウトされていて、コックピットを包み込みながら内装のラインを繋げています。

また、NAロードスター後期型で不評だったエアバッグ付きのステアリングは、3点支持タイプのスリムなスポークタイプに変更されています。これはRX-7(FD)99年のマイナーチェンジでも同じ部品が流用されました。


<NB3 VS combinationB エアロボード>
NBロードスターから装備されたエアロボードですが、ここにも開発意図が込められています。単純な整流板としての機能もさる事ながら・・・


<エアロボード背面>
清流版を立てた時にステッカーが貼れるように、表面処理の一部がフラットになっています。

前期型と後期型の比較


<センターコンソール 前期型(VS)/後期型>
ここからは前期型と後期型の違いです。

センターコンソールのポケットは、ドリンクホルダーやパワーウインドのスイッチなどが後期型で配置変更されています。なお、後期型の灰皿は前部のドリンクホルダー内に取外し式として存在しています。

参考:

ロードスター、カップホルダーと灰皿の歴史


<NB1 RS/NB2 NR-A>
内装パネルのサイド造形も変更になりました。ドアノブ位置の変更や肘当ての存在が目立ちますが、前期型は小銭が入りそうなくぼみにフェルトが貼ってあったりとコストがかかっています。

なお、後期型はサイドエアバックも視野に入れていたそうですが、技術的限界により不採用となりました。後期型の赤いパットの部分が収納予定部位になります。


<メーター 前期型>
前期型はデザイン段階からこだわったグラフィックを再現しました。なお照明は緑色です。ゼロ指針は1800ccのみの採用で、1600ccはNAロードスターと同じ針配置になっています。


<メーター 後期型(NB2)>
後期型では文字盤がホワイトになり、照明も赤色になりました。また、メーターリングが加飾され、NB3以降ではエンジンチェックランプや燃料警告灯が配されました。

バケットシートのバリエーション、その他


<NB後期型 RS2&NR−Aシート>
後期型ではシートの変更もありました。NAロードスターから軽量化のアップデートを行ったNBロードスター前期型シートですが、後期型はヘッドの位置を高く、サイドサポートを強化してより深いバケットタイプとして進化ました。なお、海外での前期型はヘッドレスト分割方式でしたが、後期型では世界共通となりました。


<VS combinationB/RS-2・NR-A/VS combinationA/Turbo>
バリエーションとしては、さらに内装の明度がタンからベージュに変更されたVSコンビネーションB(NB3以降)と、ブラックの革内装で高級感を追求したVSコンビネーションA、赤い内装のRS2/NR-A。ターボのシートバック・レッドなど、他に限定車も含めると様々な仕様が存在します。

なお、NB4になると革シートの質感向上を図り、サイドステッチにパイプ処理が施されていたり、センターコンソールにアルミ調塗装が施されます。


<NB4 エアロボード・スピーカー付き>
NBロードスターのレアアイテムといえば最終型(NB4)のみに採用されたスピーカー付きのエアロボードです。BOSEアンプ内蔵モデルやベージュ仕様のものも存在します。ただ、現在のアフターパーツ市場では高騰しすぎて、なかなか手が出ません。

NBロードスター インテリアまとめ


<NB1 RS>
さて、改めて「わび・さび」の意味を紐解きますと下記のようになります。

・侘(わび)とは、「貧粗・不足のなかに心の充足をみいだそうとする意識」
・寂(さび)は、「閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ」

現行のクルマに比べたら「走るための最低限の機能」にちょっとした収納が付いただけの、シンプルな形といえるのがNBロードスターの内装です。ただ、ライトウェイトスポーツであるため「シンプルなものに徹する」意図が込められておち、使っているうちにスルメのように味わいが深くなっていきます。


そして、これらのコンセプトは後のロードスターへと引き継がれていくことになりました。改めて内装のディティールをチェックすると、NBロードスター乗りの皆様であれば、今すぐ愛車に座りたくなっていきませんか?

関連情報:

最後のときめきデザイン(NBロードスター前期型)

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