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ここ最近のエネルギー高騰
2022年現在、欧州情勢を起点にした流通・経済の不安から様々な物価に影響が出ています。スポーツカーで燃費を語るのはナンセンスかもしれませんが、維持コストという点を鑑みれば、給油ごとに財布が軽くなるのは考えものです。
オイルショック前はさておき、90年~00年代のガソリン価格は「リッター120円」を下回る(100円を切ることもざらにあった)こともありましたが、ここ数ヶ月はリーマンショックや東日本大震災後に近しい「リッター160円」を平気で上回るようになりました。
2022年6月13日のガソリン全国平均価格は171.2円。エネルギー高騰の事態を鑑みて、日本政府はここ数ヶ月リッター当たり38.8円の補助金を出していましたが、それも41.4円に増額されるそうで・・・補助金が無ければ「リッター215円」だそうです。
ちなみに今回の事態で、北米のガソリン価格は円換算で180円、北欧は380円、香港ではリッター400円になるそうです。日本って意外と恵まれているんですね。
さておき、ここ20年のガソリン平均価格を140円とすればリッター170円は約20%の上昇ですが、215円で計算すると約54%の上昇率。燃料費が1.5倍になったら、確かにクルマに乗る頻度が下がりそうですよね・・・
歴代ロードスターの燃費を確認する
スポーツカーを燃費で語るのはナンセンスかもしれませんが、かかるコストを認識しているだけでも違いますので参考までに・・・
車種別の平均燃費で信用できるのは、いわゆる実燃費。SNSサイト「みんカラ」にて歴代ロードスターの燃費を調べてみると、以下のような結果が出ていました(※ちなみに私も給油ごとに投稿しています)。
ロードスター実燃費(2022年6月時点) | |||||
レギュラー (km/l) |
ハイオク (km/l) |
カタログ燃費 (km/l )※参考値 |
航続距離 (km)※理論値 |
タンク容量 (l) |
|
NA | 10.50 | 10.38 | 12.0 | 504.0 | 48 |
NB | 11.53 | 11.11 | 13.0 | 553.4 | 48 |
NC | 10.85 | 11.43 | 12.6 | 571.5 | 50 |
ND | 17.57 | 15.82 | 16.8 | 632.8 | 40 |
NDRF | 15.8 | 711.9 | 45 |
(参考:みんカラ 車種別燃費(投稿)/マツダ・ロードスター)
歴代ロードスターの実燃費はトランスミッション形式や排気量、グレードの違いで微妙に差があるはずですが、意外にカタログ値に近しい数字が出ていることが分かります。(※上記カタログ燃費は標準車をベースに記載しています)
また、タンク容量に実燃費を掛けると理論上の航続距離が導き出せます。もちろん街乗りや峠、サーキットなどの「走り方」によって燃費は変動するのであくまで参考値ではありますが、愛車のポテンシャルを知る指標になるのではないでしょうか。
面白いのはNDロードスター(幌)のタンク容量で、ここでも「軽量化」がなされているところです。NCと比較してマイナス10リットルとはいえ、構造もいれればもっと軽量化に貢献しているでしょう。それでも航続距離が見込めるのは、スカイアクティブエンジンの恩恵ですね(燃費走行するとリッター20kmいくとか!)。
なお、NB後期型(1800cc:BP-VE)以降のロードスターはハイオクガソリン指定になっていますが、どうしてもハイオクが入れられない時の緊急回避手段として、レギュラーガソリンで走ることも可能です。ただし、パワー低下やノッキング(異常燃焼による異音・振動)によるエンジン寿命の低下につながるので、お勧めはできません。上記の実燃費にNC/NDのレギュラーガソリン記載項目がありましたが・・・
ちなみに、満タンで支払う金額の参考値を出してみると、下記のような感じです。(NCとNDはハイオク指定なので+10円の単価で計算しています。)
タンク容量 (l) |
ガソリン単価A (円) |
ガソリン価格A (円) |
ガソリン単価B (円) |
ガソリン価格B (円) |
B-A 差額 |
|
NA | 48 | ¥140 | ¥6,720 | ¥170 | ¥8,160 | ¥1,440 |
NB | ||||||
NC | 50 | ¥150 | ¥7,500 | ¥180 | ¥9,000 | ¥1,500 |
ND | 40 | ¥6,000 | ¥7,200 | ¥1,200 | ||
NDRF | 45 | ¥6,750 | ¥8,100 | ¥1,350 |
もちろんタンク容量いっぱいまで給油することは少ないかも知れませんが、単価140円時代(ガソリン価格A)と比較した単価160円(ガソリン価格B)の差額は、実際の給油現場では1000円ちょっとになると思います。その差が大きいか少ないかは価値観によって違うと思いますが・・・塵も積もれば何とやらではありますね。
ロードスターを買い替えたほうが得なのか?
ガソリン単価が上がったから、燃費のいいクルマに乗り換える・・・というのは、経済効果からいえば素晴らしいことです。
しかしロードスターに関しては、デザインや性能など複合的な理由があればいいのですが、「燃費」だけで判断するのは早計かも知れません。ひとつの目安としてシミュレーションを行ってみましょう。(※ざっくり計算なので、諸経費は割愛します)
ロードスター平均中古車相場(2022年6月時点) | ||
販売相場(万円) | 買取相場(万円) | |
NA | 156.5 | 90.3 |
NB | 91.0 | 36.5 |
NC | 116.5 | 61.9 |
ND | 233.9 | 149.9 |
NDRF | 279.6 | 179.1 |
(参考:カーセンサー)
これは2022年6月時点のロードスター平均中古車相場です。
私はNBロードスター乗りなので、残念ながら一番人気がないNBを起点にすると・・・買取相場は「36.5万円」。そこからNDロードスターの平均中古車「233.9万」に乗り換えると、差額は「197.4万円」になります。
年間走行距離を10,000kmとして、実燃費で割り算をすると年間に必要なガソリン量はNBロードスターで867リットル、NDロードスターが632リットル。もちろんレギュラー車とハイオク車の違いもあるので、それを見越して燃料購入費の差額を計算すると「33,661円/年」になります。
年間走行距離 (km) |
必要ガソリン量 (l) |
燃料単価 (円) |
燃料購入額 (円) |
差額 (円) |
|
NB | 10,000 | 867.3 | ¥170 | ¥147,441 | |
ND | 632.1 | ¥180 | ¥113,780 | ¥33,661 | |
50系プリウス | 429.7 | ¥170 | ¥73,055 | ¥74,386 |
維持費、保険費用や希少性によるリセールバリューを計算すれば、おそらく差額はもっと詰まります。また、古いクルマは安全性能でも地球環境にも厳しいので、当然その分の余計なコストも課せられます。
しかし、少なくとも燃費の差額だけでみると、約197万の差額を埋めるには「73年」かかります。
73年はいい過ぎとしても、今のガソリン価格を維持した場合に10年で蓄積される差額は「約33万」。あくまで数字遊びではありますが、歴代で「走行性能」「見た目」の違いはあれども「乗り味」の差はとても少ないロードスター。だったら買い換えるよりも、今の愛車のメンテナンス費用に回した方が経済的であると、個人的に考えてしまうのです。
繰り返しますが、これはあくまで数字遊びです。ただ、燃費の問題では「まだ乗り換えなくてもいいかなぁ」という根拠になるデータでもあります。
ちなみに現行50系プリウスとNBロードスターで計算すると、燃費差額は「74,386円/年」。10年で75万違うなら・・・なんて思えなくもないですが、燃費と乗り味を比較するのはナンセンスですよね。
それでも、燃費や維持コストはかからないほうが助かることは間違いありません。そこで、いくつか参考記事のリンクをご紹介して、今回のトピックを閉めたいと思います。
ロードスター、維持コストに関わるトピック
ロードスターの燃費改善(エコドライブ)
https://mx-5nb.com/2020/07/02/fuel-economy-driving/
ロードスターにエコタイヤ
https://mx-5nb.com/2019/12/22/eco-tire/
ロードスターの暖機運転
https://mx-5nb.com/2020/06/01/warm-up-operation/
「重さ」と「燃費」の相関関係
https://mx-5nb.com/2019/12/12/fuel-economy/
NBロードスター 一年間の維持費(2021年版)
https://mx-5nb.com/2022/01/10/2021-maintenance-fee/
ロードスターにアーシングを行う
https://mx-5nb.com/2020/07/23/car-earthing/