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ロードスターはアフォーダブル、つまり「手が届く」スポーツカーが開発コンセプトのひとつ。
それは誰にでも「人馬一体(=乗って楽しい)」を提供し、普段使いもこなし、なにより維持費に至るまで敷居を下げるため、エンジニアはメンテナンスの容易さだけでなく保険費用にまで心配りを行っています。
さて、そんな私のNBロードスターも初年度登録より20年が経過しました。2021年4月を持って中古車購入してオーナーになってから既に12年が経っているのです。そこで、この期間にどれくらいの維持費用(コスト)が掛かっていたのか可視化をしました。(※SNSやネット注文の恩恵から、可能な範囲で履歴を追っています)
あくまで私自身のお金の使い方なので、全く同じ状況になることは無いと思いますが、20年落ちのロードスターにかかる費用が本当にアフォーダブルなのか、検証材料になればと思います。なお、細かい数字のブレはご勘弁いただければ助かります・・・あくまで参考データです。
集計期間:2012年4月~2023年12月
なお、NBロードスターのざっくりしたスペックは以下の通り。クルマいじりの方向は「クルマの素性を活かす」モデファイであり、自分でできそうなことは「なるべく手を動かす」ことを心掛けていますが、一方で安全性や性能維持にかかわることは、プロの手もお借りしています。
マツダ・ロードスター
製造年度:2003年(平成15年)
型式番号:GH-NB6C(301264)
排気量 :1600cc(125ps)
車両重量:1,050㎏
トランスミッション:5MT
グレード:WebTuned(NR-AベースNC4内装)
NBロードスターの固定費
固定費とは、自動車を所有しているだけで絶対にかかる経費です。サーキット専用車とかプライベートな敷地でクルマに乗る分には必要ない費用ですが、公道を走るために絶対に必要なコストです。
まず、日本国内で自動車を維持するためには【税金】が必要になります。
自動車税および重量税は、2016年以降に「初年度登録年度から13年超過」となるためグッと上昇します。また、車検時に加入する自賠責保険は料率改定によりに変動します。なお、この項目における車検費用はベースとなる金額した記載しておらず、交換パーツ等の整備費用は後に記載するメンテナンス費用で計上します。
また、任意保険というのはいわゆる【自動車保険】です。任意だから加入しなくていいと思われる方は、スポーツカーを所有しない方が賢明です。これは公道を走る以上、他人に迷惑をかけないためにも絶対に必要な経費です。
保険契約における前提条件は20等級以上、ゴールド免許、中年であるとともに、年間走行距離は10000km以下であることです。また、対人・対物補償は無制限に設定していますが車両保険はあえてかけていません。クルマをぶっ壊したら自分の責任です・・・
年 | 自動車税 | 重量税 | 自賠責保険 | 車検基本費用 | 任意保険 | 固定費計 |
2012年 | ¥39,500 | ¥19,850 | ¥59,350 | |||
2013年 | ¥39,500 | ¥18,780 | ¥58,280 | |||
2014年 | ¥39,500 | ¥24,600 | ¥27,840 | ¥21,230 | ¥18,800 | ¥131,970 |
2015年 | ¥39,500 | ¥19,530 | ¥59,030 | |||
2016年 | ¥45,400 | ¥34,200 | ¥27,840 | ¥21,230 | ¥13,830 | ¥142,500 |
2017年 | ¥45,400 | ¥13,820 | ¥59,220 | |||
2018年 | ¥45,400 | ¥34,200 | ¥25,830 | ¥21,230 | ¥11,880 | ¥138,540 |
2019年 | ¥45,400 | ¥8,800 | ¥54,200 | |||
2020年 | ¥45,400 | ¥34,200 | ¥21,550 | ¥21,230 | ¥9,860 | ¥132,240 |
2021年 | ¥45,400 | ¥11,680 | ¥57,080 | |||
2022年 | ¥45,400 | ¥34,800 | ¥20,010 | ¥22,390 | ¥16,030 | ¥138,630 |
2023年 | ¥45,400 | ¥25,700 | ¥71,100 | |||
合計 | ¥521,200 | ¥162,000 | ¥123,070 | ¥107,310 | ¥188,560 | ¥1,102,140 |
2016年以降に自動車保険が極端に下がっているのはインターネット系の損害保険会社へ切り替えたからです。ネット保険は自身で補償内容を確認、事務作業等の手間が増えますが、早期特典など様々な割引が適用されるので、個人的にとても重宝しています。2022年以降上昇しているのは、事故を起こしたわけではなく年間走行距離が増えたからです。
余談ですが、幸いロードスターで事故を起こすことはありませんでしたが、家族車両におけるトラブルで損保コールセンター(オペレーター)に相談する機会は幾度か経験しており、その対応には感謝しかありません。個人的にとても信頼してる存在です。
なお、私の場合は自宅敷地にロードスターを駐めているので「駐車場代」の固定費がかからないことも付記します。
参考)→https://mx-5nb.com/2020/06/22/car-insurance-rate/
NBロードスターの整備費用
次に、メンテナンス費用を集計してみました。ロードスター業界(?)では幸いなことに、メンテナンスに明るい友人が多いことから、そこからノウハウを得たり、作業工賃は「食事をおごる」レベルで済んでいるラッキーな状況もあります。
一方で、性能維持やトラブル対策のためにプロフェッショナルにお願いするシーンもそれなりにあります。20年落ちのクルマなんて、経年劣化でいつ何がぶっ壊れてもおかしくないのです。
この項目における主な分類は以下の通りです。
トラブル整備:緊急で対処したもの
快適装備 :カーナビ、ETC、オーディオ、エアロパーツなど
年 | メンテナンス | トラブル整備 | 快適装備 | 年次計 |
2012年 | ¥66,633 | ¥71,050 | ¥55,456 | ¥193,139 |
2013年 | ¥37,922 | ¥21,870 | ¥59,792 | |
2014年 | ¥6,647 | ¥91,678 | ¥17,396 | ¥115,721 |
2015年 | ¥8,711 | ¥18,900 | ¥35,968 | ¥63,579 |
2016年 | ¥28,760 | ¥20,000 | ¥48,760 | |
2017年 | ¥71,300 | ¥15,035 | ¥86,335 | |
2018年 | ¥45,760 | ¥23,652 | ¥4,830 | ¥74,242 |
2019年 | ¥107,640 | ¥30,730 | ¥17,522 | ¥155,892 |
2020年 | ¥122,948 | ¥27,155 | ¥150,103 | |
2021年 | ¥52,884 | ¥6,151 | ¥8,800 | ¥67,835 |
2022年 | ¥82,786 | ¥54,170 | ¥40,736 | ¥177,692 |
2023年 | ¥284,542 | ¥69,105 | ¥353,647 | |
12年合計 | ¥916,533 | ¥311,366 | ¥318,838 | ¥1,546,737 |
金額の羅列だけだとピンと来ないので、比較的コストのかかった整備を記載していきますと下記のようになります。
・パワートレイン関連(クラッチ、オイル漏れ、ベルト系、水回り)
・ウインドーレギュレーター交換
・ヒーターホース交換
・ボンネット/フェンダー塗装
・バッテリー交換(2回)
<メンテナンス(予防整備)>
・プラグ回り交換
・幌交換
・ラジエーター交換
・サスペンション交換
・レリーズシリンダー交換
・足周りブッシュ交換その他
<快適装備>
・エアロパーツ購入
・アルミホイール&タイヤ購入
・ボンネットインシュレーター
・ボディカバー購入
・ナビ&ETC購入
・シフトノブ補修
また、私は以前にNB8C(NBロードスター)とNA6CE(ユーノスロードスター)のオーナだった時期があり、その際に残していた遺産は(セミバケットシートやハードトップなど)そのまま愛車に継承しています。
もちろん、維持費用において【快適装備】はなくてもクルマは走ります。でも、自分なりのドレスアップやモデファイはロードスターに乗っていたらやりたくなりますよね・・・
一方、【緊急メンテナンス】や【予防整備】は安全に走るために必要なコストです。ロードスターは腐っても近代の日本車なので基本的に頑丈ではありますが、経年劣化によるトラブルは避けられません。修理費用がかさむと心が折れ、降りるきっかけになることは往々にしてありますが、私は(まだ)楽しくロードスターを維持することができています。
NBロードスターの燃料費(ガソリン代)
次は燃料費の集計です。
大前提として、NB6CのB6-ZE(RS)エンジンは【レギュラー仕様】です。私の居住する埼玉県はガソリン価格が全国平均より少しだけ安価な地域といわれています。
また、2013年~2014年は世界的に投資(投機)資金が「原油と金」に注がれた時期なので、単価が当時としては口頭しています。この時期は不景気も相まってスポーツカー冬の時代であり、エコカーや積載性の高いクルマが特に幅を利かせた時期でもあります。
その後、いったん落ち着いた燃料価格は2020年以降のパンデミックを発端とした流通問題や、欧州や中東の世界情勢悪化とともに円安がすすみ、オイルショックや東日本大震災、リーマンショックよりも単価が現在進行形で上昇しています。
ただし、近年のクルマはリッター20km/lは余裕で超えてくる(かつての燃費の倍走る)ので、燃料費の支出はあまり変わっていないのが一般的です・・・が、20年落ちのスポーツカーだとそうはいきません。楽しめば楽しむほどコストはかかるのです・・・
年 | 走行距離(km) | 給油量(L) | 平均単価 | 給油金額 | 燃費(L) | 給油回数 |
2012年 | 4,352.8 | 368.1 | ¥137.4 | ¥50,573 | 11.8 | 10 |
2013年 | 6,789.5 | 624.6 | ¥144.7 | ¥90,469 | 10.9 | 17 |
2014年 | 5,871.9 | 548.0 | ¥149.9 | ¥82,128 | 10.7 | 14 |
2015年 | 6,097.0 | 546.8 | ¥123.7 | ¥67,765 | 11.1 | 15 |
2016年 | 5,851.7 | 513.2 | ¥108.6 | ¥55,455 | 11.4 | 15 |
2017年 | 6,393.0 | 539.7 | ¥122.1 | ¥65,980 | 11.8 | 14 |
2018年 | 4,222.9 | 395.0 | ¥138.2 | ¥54,457 | 10.7 | 11 |
2019年 | 3,785.4 | 362.7 | ¥131.6 | ¥47,661 | 10.4 | 10 |
2020年 | 3,512.7 | 329.5 | ¥122.4 | ¥40,160 | 10.7 | 9 |
2021年 | 2,965.9 | 287.4 | ¥141.3 | ¥40,557 | 10.3 | 8 |
2022年 | 5,338.9 | 503.2 | ¥153.9 | ¥77,464 | 10.6 | 15 |
2023年 | 6,423.5 | 560.8 | ¥161.4 | ¥89,766 | 11.6 | 18 |
合計 | 61,605.2 | 5,578.9 | ¥136.3 | ¥762,435 | 11.04 | 156 |
私の運転は週末の街乗りが中心です。あまり燃費を気にして走ることは少なく、トルクが乗ってテンポよくいける3000回転前後のシフトチェンジが中心で、スラッジを焼くため(たまに)床まで踏むような走り方です。また、夏場は「ハードトップ装着&エアコン稼働」と、ライトウェイトスポーツには厳しめな使い方をしています。
2019年以降は多忙になったこととパンデミックの影響でほとんどロードスターに乗ることができませんでした。しかし、ここ数年は時間的余裕もできたことからツーリングが増え、それに伴い走行距離も回復しています。
面白いのは平均燃費で、慣らしていくとほぼ近しい数値になっていきました。なお、燃費最高値は14.59km/L、最低値は7.49km/Lでした。
参考→https://mx-5nb.com/2019/12/12/fuel-economy/
12年間のNBロードスター維持費 総計
最後に、約12年間を通した維持費の総計をまとめました。なお、車両価格(納車費用)とレジャー関連費用(ツーリング先のご飯など)は計算外です。あくまでNBロードスターの維持にかかった費用です。
実際に並べてみると、車検のある年が分かりやすく跳ね上がりますが、年間20万~30万ほどの維持コストがかかっています。平均は28万円になりますが、近年は予防整備を行っているので維持コストは跳ね上がっています。ただし、本当に「乗るだけ」の為であれば、もっとコストセービングは可能です。
年 | 固定費 | 整備費 | 燃料費 | 年次計 | 月平均 |
2012年 | ¥59,350 | ¥193,139 | ¥50,573 | ¥303,062 | ¥25,255 |
2013年 | ¥58,280 | ¥59,792 | ¥90,469 | ¥208,541 | ¥17,378 |
2014年 | ¥131,970 | ¥115,721 | ¥82,128 | ¥329,819 | ¥27,485 |
2015年 | ¥59,030 | ¥63,579 | ¥67,765 | ¥190,374 | ¥15,864 |
2016年 | ¥142,500 | ¥48,760 | ¥55,455 | ¥246,715 | ¥20,560 |
2017年 | ¥59,220 | ¥86,335 | ¥65,980 | ¥211,535 | ¥17,628 |
2018年 | ¥138,540 | ¥74,242 | ¥54,457 | ¥267,239 | ¥22,270 |
2019年 | ¥54,200 | ¥155,892 | ¥47,661 | ¥257,753 | ¥21,479 |
2020年 | ¥132,240 | ¥150,103 | ¥40,160 | ¥322,503 | ¥26,875 |
2021年 | ¥57,080 | ¥67,835 | ¥40,557 | ¥165,472 | ¥13,789 |
2022年 | ¥138,630 | ¥177,692 | ¥77,464 | ¥393,786 | ¥32,816 |
2023年 | ¥71,100 | ¥353,647 | ¥89,766 | ¥514,513 | ¥42,876 |
合計 | ¥1,102,140 | ¥1,546,737 | ¥762,435 | ¥3,411,312 | ¥23,690 |
あわせて、各種費用の年次平均値を出してみると下記のようになりました。
整備費平均:128,895円
燃料費平均:63,536円
12年の維持費 | 固定費 | 整備費 | 燃料費 | 総合経費 |
年平均 | ¥91,845 | ¥128,895 | ¥63,536 | ¥284,276 |
月平均 | ¥7,654 | ¥10,741 | ¥5,295 | ¥23,690 |
大きな出費もありましたが、約12年の維持費用を慣らすと約2.4万円/月くらいでロードスターを維持している計算になります。もちろん「楽しさはプライスレス」なので数字で表すと味気ないかも知れませんが、改めて並べてみると見えてくるものがありました。
このような【趣味車にかける費用】が高いのか、安いのか・・・それは価値観によるものだと思いますが、ロードスターと過ごしている期間や所有満足度を振り返ると、金額以上に得るものはあったと感じています。
こんな私のNBロードスター維持費用、何かご参考になれば幸いです。
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