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当サイトは、歴代ロードスターと比較して「NBロードスター」の情報だけがWebで極端に少ない(しかも間違っている)ことが歯がゆくて、せめて分かっている事だけでもWebの海に残しておこう(アーカイブしよう)と思ったのが、スタートしたきっかけでした。
従って、NBロードスターを軸にした記事が多くあるのですが、それを追いかけていると自ずと後継車の「NCロードスター」を調べる結果に繋がりました。
NCロードスターを客観的に見るのであれば、ある意味でとても恵まれた生い立ちがありました。
なぜなら、もともとNA/NBロードスターは先行き不明な開発環境を活かして、極めて趣味性が高いエンスージアスティックな仕上がりを見せました。結果「レシピが不明な伝統のタレ」とでもいいましょうか、エンジニアのパッションを熟成させて仕上げた奇跡のクルマになりました。
安く、軽く、楽しく・・・を追求した結果、フラグシップのRX-7を差し置いて経営再建を行っていくことになるマツダのブランドピラーとして生き残ったのは皮肉な話ですが・・・
そしてNCロードスターは、その謎のレシピ・・・つまり「乗り味」を引き継ぐため、マツダ本気の主幹プロジェクトとしてオリジナル開発メンバーと新世代開発メンバーが一緒になり、NA/NBをゼロから解析して作り上げたクルマでした。もちろん、産みの苦しみによる社内外のプレッシャーは相当なものだったことは書くまでもないでしょう。でも、NCロードスター開発チームは見事に新世代「マツダ・ロードスター」を作りあげました。
それだけでなく、ここで可視化されたノウハウを活かし、マツダ車全体が「人馬一体(=乗って楽しい)」と名乗るようにもなりました。もちろんこれは電動化されるNEロードスター(仮)にも引き継がれていくでしょう。
一方で、とても不遇な評価を受けたクルマでもあります。むしろ、こっちのイメージの人が多いかも知れません。なぜなら、クルマの出来とセールスは結び付かなかったのです。
理由は当時の時代背景の影響もありますが、再構築されたロードスターに「こうあるべき」みたいなノイズの部分が強調されたからです。実際、目に見えたネガティブ要因を潰して作られたのが、NDロードスターであるともいえます。本当はNCロードスターのいいところ(特に乗り味)を大いに引き継いでいるのに、それが語られることはほぼありません。それはとても寂しいことだと思います。
ただ、2022年現在において状況は一変しそうです。
なぜなら、自動車業界が電動化に向かうなか「内燃機関のスポーツカー」全般が見直されており、「もしかしてNCロードスターって凄かったんじゃね?」と、再評価されつつあるからです。そこで今回はNCロードスター推しの記事をまとめてみました。
NCロードスター関連記事
NCロードスター、不当な評価の原因は?
https://mx-5nb.com/2022/02/07/unjustified-evaluation-of-mx-5/
NCロードスターはスポーツカーとしては世界的に「売れていた」のですが、国内マーケットでは販売が振るわなかったため、結果としてネガティブなイメージが根付いてしまいました。その要因を探ります。
NCロードスター(NCEC2型)試乗記
https://mx-5nb.com/2019/11/01/nc-impression/
あまりの速さにビビリながら走っていたのは最初の10分ほど。気づくと、身体に「馴染んで」います。速度領域も、エンジン特性も、間違いなく向上しているのに、このハンドリングは自分がよく知っている「ロードスター」そのものです。これは、本当に乗ってみなければわからない感覚かもしれません!
NCはなぜキジマじゃないのか
https://mx-5nb.com/2020/01/09/kijima2017-12/
NC企画開始は2001年5月、NB2の時代から始まっていました。ゼロから再設計することになったロードスター、フルモデルチェンジを行うのは一枚岩ではなかったという、貴島孝雄さんインタビューから抜粋です。
RX-8とNCロードスター
https://mx-5nb.com/2020/05/13/kijima2018-7/
エイトのホイールベースを縮めてロードスターが作れると考えること自体がおかしい。その片棒を担いだマツダの人間が「その通りだ」とプランを持ってきたのも気に入らなかった。だから、実際のNCパーツそのものは、エイトと似て非なるもので、互換性ゼロ・・・同じものは一つも採用しなかった。貴島孝雄さんインタビューから抜粋です。
新世紀のロードスターデザイン(NC1)
https://mx-5nb.com/2019/11/23/nc1-design/
NCのデザインで最大のネックとなったのは、背の低いスポーツカーの側突安全基準(サイドエアバッグ)を稼ぐためと、RX-8と共通シャシーを使うために「全幅1,720mm」というサイズの前提が存在したことです。先代NBの全幅は1,680mm。+40mmは3ナンバー枠になり、物理的にサイズが大きくなる車体を【いかに小さく見せるか】が、デザインのポイントになりました。
NCロードスターの量産工程
https://mx-5nb.com/2020/11/02/nc_mass-production-process/
2005年5月17日、マツダ本社宇品第1(U1)工場でNCロードスターは生産を開始しました。工場火災から一転、同年の4月末に塗装ラインの稼動を再開した宇品第1工場において、NCロードスターはマツダの新型車として初めて量産再開するモデルになりました。
次世代コンセプトカー「息吹(2003)」
https://mx-5nb.com/2019/12/17/ibuki1/
NCロードスターのフルモデルチェンジを控える中、市場の反応を見るためのティザー的な発表されたコンセプトカー「息吹(ibuki)」。今だからこそ理解できることを紐解いていきます。
マーブルホワイトのNCロードスター
https://mx-5nb.com/2019/12/06/marblewhite/
マーブルとはどんな意味かとすれば「大理石」です。この色は後にRX-8のロータリー40周年記念車にも採用されましたが、当初はNCロードスターのカタログカラーかつ専用色でした。どんな色味かといえば、若干赤みのかかった暖色系の白。例えるならばコスモスポーツの白とか、歴代ホンダタイプRの「チャンピオンシップホワイト」にイメージが近しいです。この暖色系の白は、未来的なNC1に、血の通っているような・・・生物の息吹を感じさせます。